第3話 その夏何が有ったのか
ふた月ほど前の事。
夏真っ盛りの特別の日、待ちに待ったニタニタ
今年は万博記念公園で開催され俺は準備万端出掛けたのさ。
この日のために用意した最終兵器をスカイブルーのリュックに詰め込みいざ出陣、もちろん周辺機器も怠りない。
ある理由によって日焼け否定派の俺だが懐事情も苦しい今日の軍資金8千円を使い果たすと後10日間飲まず食わずでサバイバルしなければならない、日焼け止めを塗りたくりバス代をケチって自転車で駅に向かった。
一番安い路線はすでに頭に入っている二度乗り換えしなければならないが何としても野口英世先生お一人様は確保しておきたい躊躇わず一番安価な切符を確保。
三十分前に会場着さあ戦闘準備だ。
更衣テントは既にギッシリと汗臭い男たちで満たされている、既に派手な(現地ではケッタイナと表現される)衣装に身を包んだ者もあちこちに見受けられる。
俺は入り口入ってすぐの場所でミクTとジーンズを脱ぎリュックの中の最終兵器を取り出す。
(構えて、用意、ドン)
純白の服に腕と体を通し即テントを脱出、ズボンを履かなくて良いのかって、もちろんOKだ。
なぜならワンピース、(アニメじゃないぞ)純白のお姫様ドレスだから。
この瞬間、俺からボクに入れ替わる、ボクと言っても女子的「ボク」だ。
声を出せば自然に少し高い女性声。
(ボーカロイド仲間-外れ(CEVIO《ちぇびお》仲間)のONE《おね》ちゃんに似ていると思ってる)
それに身長は150んセンチの僕、顔は童顔で中性的、お肌は色白、女性服を着れば既に女性そのもの、いや来る時もミクT(シャツ)のせいか、
「彼女一人?」なんて声を掛けられた、アンパン(パッド)入りのブラがまずかったか。
取り敢えず近くに並べてある席の女性が多い方に陣取りメイク開始。
外見的には化粧も必要ないけど、知り合いは居ないと思うがニタ生中継で映される危険がある、親に泣かれたくはない、大学で男に抱かれたくもない、バイト先の鬼軍曹に半殺しにされたくない。
日焼け対策もしっかり行っていないと一日中炎天下に晒される。
化粧で変身して頭に前髪だけのワンポイントウィッグを着けそこにカチューシャを着けて靴も真っ赤な革靴に履き替える。
今最貧の生活を迫られているのはこれらのアイテムを揃えたせい、去年まで自宅通学だったのでこう言う物を自宅に保管する事が出来なかった。
その鬱憤もありあれこれ買い集めた、と言っても中古かヤフオク、グロス(口紅)だけは高校時代から使っていたもの、その時は口紅とミクTだけでオタク街などに一人で行っていた当然友達はいない(女子にオモチャ扱いはされていた)。
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