第6話 メイク ア メイド?

 あの日先輩を先に返そうとあれこれ画策したが結局一緒に帰る羽目になった、大阪までだけど(大阪在住と言う事にして)、手を繋いで、、、女性同士のつもりなんだけど。


 以来傲慢な態度は変わらないが、何かとセクハラを仕掛けてくる。(バレているんだろうか)


 さっきの同床もきっと遊ばれているのだ、その日になったら車で寝てろと寝袋を渡されるのがオチ、でも本当に同床だったらどうしよう、恐ろしいような嬉しいような、ロープで縛られベルトでシバかれたら。。。


「おい気持ち悪い、何ニヤついてる、根性叩きなおして欲しいのか」

「はいお願い」って言いそうになるが「すいません、お茶淹れましょうか」

「そうだな、メイド姿でやってくれ」

「えっ、、、あ、姉なら似合いますけど」

「何を言ってる、そっくりじゃ無いか、嫌ならお前はクビだ、姉様を雇おう」

「そんな無茶な、姉も仕事はしていますから」


 俺は部屋の仕切りの裏にある流しでポットに水を注ぎ一口コンロに乗せ火をつける。


 仕切りの向こうから声が聞こえる。

「だったらメイド服を着ろ、用意はしてある」


 戻ってきて、

「えっ、そんな、ス、スカートなんて、スネ毛が不気味ですよ」

(ほんとは何時でも脱毛処理はしている、ショートパンツの時スネ毛が許せなくて)


「分かった、今晩脱毛してこい、いやして来なくてもいいぞそしたら明日素っ裸にして全身脱毛してやる、それがいい、股も綺麗に洗っておけ」

(エッチ、いつも綺麗にしていまーす)


「い、いやしてきます、してきますとも全裸にして放り出すつもりでしょ」

「なんだ心の準備が出来ているな、今から遊んでやるか」


 お湯が沸く音がしてきたのでそこへ行き火を止める。


「ちょっーと先輩仕事中です、真面目にやってください」

「チッ硬い野郎だ、やっぱり姉様がいいなあ、暮れには熨斗のしを巻いてお歳暮に差し出せ」


「そんな無茶聞いてくれません、緑茶ですか紅茶ですか」


「紅茶ミルク入り、それでだな有馬でムフフの件だが」

(やっぱりセクハラ中年オヤジ、クールな美人顔とのギャップが萌える、いや、イヤイヤそんな意味では無い、ってどんな意味だ)


 ポットに直接茶葉を放り込む、一応スプーンで測って。

 1分蒸らす。


「ムフフは止めてください」

「姉様はそんなことは言わないぞ」


 待つ間にカップを用意、熱っいのを好まない自分に合わせてカップは温めない。


「普通初対面でムフフなんて言う人はいません」

「まあいいこれから言うことは-(いきなり可愛い声で)内緒だよー」

「い、いきなりかわいい声で叫ばないでください、心臓が惑星アリアまで飛んでいきました」

「アリアじゃねえアリマだ、いいかこれから言うことは他言無用、もし喋ってみろ、、、」


 ポットから紅茶を注ぎながら、

「一生ボスの奴隷ですか、いいですよ、好きに使ってください」

「ブー、そんなんじゃあ面白く無い、やっぱり姉様、、、本名はなんと言うんだ」


 冷蔵庫から小さいパックのコーヒーフレッシュを4つ取ってソーサー(お皿)に乗せ2杯の紅茶を左右の手に持ってキスミーの席に向かう。


「今更名前ですか。いちおうですが」

「それはpの名前だろうが、本名だ」


 キスミーの前に一セットを置いてその向かいに座る。


「えーと物心ついた時からいちおうと呼んでいますが」

「お前が一葉ひとは読み替えるとで姉が他の読み方が有るんじゃないのか」

「えーとひとつのおおとり一凰いちおうって呼ばれていた様な気もします」

「なんだよ気がしますって」


 誰にも言ってないが姉は中学になってからやって来た、今の母親とだから他人とは言いたくないけど血のつながりは無い、そんな事情はキスメに話したくない。


 紅茶にフレッシュを注ぎながら、

「あまり記憶が無いんです、すぐに居なくなって」

「はあ親が離婚して別々に引き取ったのか」

「いえ、、、離婚はしてないです、でもお父さんも居なかったから単身赴任に付いて行ったのかな」


 紅茶に口を付ける。


「なんでそんなに曖昧なんだ?」

「んー夢か現実か良く分からなくて、小さい時の事あまり覚えてないんです」


「まあいい、一凰ひととりがいいな、よし今日からお前は一凰ひととりだ!女子バージョンの時だけな」

「女子バージョンて何ですか」

「さっき言っただろメイド服、明日からメイド服な」

 

 「ぷっ」吹きそうになった。いや吹いたちょっとだけ。


「マジですか」

「当たり前だ、嫌なら姉様を呼ぶと言っただろ」

「ムリです、仕事してるんですから」

「だったらお前が着るしかない、着ないですっぽんぽんでも良いぞ」

「嫌です、何されるか分かったもんじゃない」

「そりゃ当然鞭でシバく」


 紅茶のカップをテーブルに置いて、

「いいよ」

「は?」

「だから、、、シバイていい」

「全く、ダメなのそれじゃあ、いやー、とか止めてー、って言ってくれないとテンション上がらなの」

「全くエスなんだから」

「お前がM過ぎるの、病気だな」

「えっ」

「M病だ、病院に入ったことは」

「病院? だれが?」

「お前だ、頭を打って気持ち良くなった」

「いや頭じゃなくてお尻叩かれた」


「変態姉弟め」

「なんで?」

「もういい今度此処へ連れてこい、ちゃんと実態が有るやつだぞ」

「実態って、幽霊とでも言うんですか」

「や、やめろ、今の言葉死ぬまで言うな、死んでも言うな」

「あっ、ひょっとしてヒュードローはお嫌いで、、、」

 いきなり引きつった顔面が目の前に迫り口が塞がれた???

 柔らかい唇で!。。。



 気が付いた時にはソファーに横たわっていた?

 慌てて服を確かめる、大丈夫ちゃんと着ている、メイド服。。。

「なっ、なにをしたの?」

 女性の服を着ると条件反射で女性に変身(気持ちだけ)する自分。


 目の前に居るのは綺麗な女性の顔をしているが中身はセクハラオヤジ、無事でホッとする、いや残念か、この頃分からなくなってきた。


「バカヤロー、キスミーっていつも言ってる癖に気絶する奴がいるかキス程度で」

「だってうれ、、、んっ、ビックリして唾が喉に詰まったの、いきなりは無いでしょ、初めてのキスなんだから、もっとロマンチックに、、、い、いやだめだからね」

「よし今度須磨の水族園でピラニアの水槽から助け上げてからキスしてやろう」

(ロマンチックが分かってない、さすがダメおやじ)


「僕を水槽に放り込むつもり?それってどこがロマンチックな訳?」

「ハラハラドキドキ手に汗を握ります、さあて哀れな少女の運命や如何いかに、映画ってホントーに良いですね、今日も元気でありがとう、ありがとう浜村キュンです、キュンと言っても<あるふぁきゅん>とは違うぞ」


「あのうオヤジが言ってること意味不明なんですけど」


「だ、誰がオヤジだ!天下の美女をよくも侮辱してくれたな素っ裸にしてピラニアの水槽にぶち込んでやる」


「嫌です食べられて死んじゃいます」

「ああ情けない、明日は一日浜村キュン様の講義だ、弁当と自由帳10冊忘れるなよ」


「あ明日は平日で講義があります、来るのは四時かな」

「おいほとんど毎日朝からこんな所で遊んでやがって何が講義だ、ん?お、お前って奴は授業はどうした、単位は足りてるのか?」

「遊んでるんじゃなくてここでバイトです、毎日セクハラとパワハラと奴隷扱いに泣いてますけど」


 急に可愛い声に変えて、

「嘘だねー、知ってるもんねー奴隷扱いされて喜んでいるもんねー、(声色を元に戻して)身ぐるみ剥いで玄関前に縛り付けてやろうか」

「ヒエッ、う、うれし、くない、やだもん」

「お前本音がダダ漏れしてるぞ、それはまあ後の楽しみに取っておくか」

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アリマ イン ザ プラヌウス 一葉(いちよう) @Ichi-you

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