旅館みなみ屋

作者 矢向 亜紀

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★★★ Excellent!!!

主人公・真弓の家、そして幼馴染・直哉の家はどちらも連れ込み旅館。正直、性描写有りとあったので敬遠していましたが、読み始めるとスッと体に入り込んでくる作品でした。

どこか達観している真弓の語り口調がすごく心地良くて、直哉との会話のテンポ感もとても好きです。

母親たちから「ラブホテルの偵察」を頼まれた真弓と直哉。行動を共にしながら、二人が自分たちの関係や家族との距離感について改めて考えていく展開です。

要所要所に散りばめられた詩的な表現にも吸い寄せられます。とても綺麗な作品だと思いました。面白かったです。

Good!

舞台は現代なんだろうけど、不思議と終戦直後のごたごた期のような雰囲気の漂う不思議な作品でした。

感情が爆発してしまうような場面も淡々と綴られているために、感情移入して物語の中に没頭するというよりは、第三者的に(まるで実在の事件をニュースで見るかのように)醒めた感覚でその出来事を見るような印象です。筆力のあるなしではなく(あるなしでいうなら「ある」のだと思います)、そういう書き方をされたのだということはわかります。そういった作品に触れることが普段あまりないので新鮮な気持ちで読むことができました。

また、髄所に見られれる「○○を私は知らない」という一文も、主人公自身もどこか醒めているような感覚です。

思春期の男女を、醒めた視点から描いているところに、ほかの青春小説にはない風情を感じました。