第2話 ひとりになった理由
この頃からだったんだ。友達と呼べる人が居なくなったもの。ひとりぼっちになったのも。進路について悩み始めたのも。
所詮は中途半端な不良だった。めちゃくちゃ不良の友達とも仲良くなれない。だって、悪いことして捕まりたくないじゃん。母親にも怒られたくないし。そして、中途半端になり過ぎたわたしは、女子たちが作るグループに入れなかった。高校生だから、無視したりわざとグループに入れないとか陰湿なイジメとかはしてこない。普通に友達とも話すし。ただ、「担任に仲良い友達とグループ作ってくださーい」って言われたときに作れないわたし。ひとりなんだな。って実感したよね。みんな優しいから、「私たちのグループきなよ!」って声かけてくれるんだ。それが余計にわたしをひとりなんだと実感させられた。
ただ、分かるようにもなった。仲間外れにされたくなくて、必死にそのグループにしがみつく女子。とにかく、話題をふりまくり、ノリに合わせて、「ウェーイ!まじ最高なんだけど!」って、最後には、たまたま1人その場に居なかった女子の悪口。少しでも自分以外の対象にして、仲間外れを拒む姿。
あぁ、滑稽だな。って思ってた。当時は。
今はもっとしがみついて、もっと友達とたくさん遊んだりしたかったな。って思う。
ひとりが嫌いだったわたし。ナンパされたお兄さんと付き合うことになった。お兄さんは学校に居ないけど、放課後はデート。それなりに女子高生ぽっいこともできた。楽しかった。お兄さんも中途半端不良だったんだ。
だから事件は起きた。
中途半端な不良同士。駅の駐車場に原付が鍵が着いたまま停めてあったの。それを見たお兄さんが、盗もうよ。って誘ってきたんだ。わたしはめんどくさいし、好きにすればって感じで待ってた。
中途半端な不良だから、お兄さん原付の乗り方知らなかったんだよね。
だからわたしが友達に電話して、原付の乗り方、エンジンのかけ方を聞いた。
そして、盗んだ原付を2人で乗って家まで持って帰ることにした。原付乗ってるときは、リア充って感じてた。彼氏と密着してるし。
そんな物語はすぐ崩れるんだけど。
もちろん、原付の2人乗りは違法。パトカーに見つかって、逃げ切れなかった。当時、高校生だったわたし。別に原付盗んだ友達も居たし、警察に見つかっても補導くらいで、反省文提出して、親が迎えに来るって聞いてた。
でも甘かった。当時、彼氏はフリーター。つまり学生ではない。
その場で2人揃って逮捕されたのだった。
留置所に入れられて、事情聴取。犯罪者になってしまった。なんてことをしたんだろうと。その日に帰れるわけもなく、もしかしたらもう母親、兄弟と会えないかもしれない、そんな不安がよぎる。涙がとまらなかった。
あの時、彼氏をとめておけばよかった。と後悔した。その後、彼氏はなんとわたしに偽名を使っていたことが警察官から知らされた。
騙されてた上に、犯罪者になった。
悔しい、悲しい、恥ずかしい、辛い、、、
そして、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
と泣き叫んでいた。
数日後、家庭裁判所の判決がおりて、わたしは解放された。
犯罪者のため、もちろん家での居場所はなかった。
またひとりになった。
高校は無期停学処分だった。
自主退学してくれって言われたけど、担任がわたしを残す努力をしてくれた。
卒業まで残り半年だった。
担任のおかげで残ることはできたけど、ますます友達とは距離がおかれた。
卒業まであと半年。進路を決めなくてはならない。わたしのクラスは文系コース。大学に行って、心理学を学びたかった。
でもあまりにも馬鹿過ぎて、心理学科には入れなかった。
とりあえず受かった大学に行くことにした。
5流大学に受かったわたし。だれも褒めてなんてくれなかった。
高校3年間、ひとりだったわたし。ひとりに強くなれたわけでもなく、ただ周りが羨ましかった。寂しかった。
もちろん、卒業式はひとりで帰った。高校最後の道を一緒に帰ってくれる友達なんて居なかった。
適応障害とわたし ゆきまる @kaname_999
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