第12話 昇華した動物
ステージの中央に巨大な堀式の透明な水槽が現れた。同時に放たれた鉄砲口の魚と宝石の海月はドボンと水の中に飛び込んだ。
【Cランク秘宝獣ー鉄砲魚ー】
【Cランク秘宝獣ー宝石海月ー】
戦闘開始の合図と共に、会場が湧いた。
「ジュエリーちゃん、接近して『毒手(どくしゅ)』☆」
アザトスの指示により、宝石の海月の触手が数メートルに渡って伸びていく。元となった動物は【カツオノエボシ】、俗に言う電気クラゲであろう。
電気クラゲと言っても、実際に電流が流れているわけではない。火蟻やバレットアントと同様、毒による痛みの強さからそう呼ばれているのだ。
「鉄砲魚よ、距離をとって反撃だ!」
一方でヴァルカンの遣う鉄砲魚【テッポウウオ】は、読んで字のごとく口から水鉄砲を放出して獲物をしとめる。
だが、【秘宝】によって昇華された動物、【秘宝獣】は、実在する動物のそれとは少し違う。姿形は元となった動物と酷似しているが、特殊能力の性質が飛躍的に【進化】しているのだ。
水中で放たれた水鉄砲を、宝石の海月は触手を使って防いだ。その触手を思いきし伸ばし、すぐさま反転攻勢に出た。
「ジュエリーちゃん、『ビリビリウェーブ』☆」
宝石の海月の触手から、今度は電流が放出される。水は電流をよく通す。逃げ場のない電撃が、鉄砲口の魚を襲う。
「このままでは感電してしまう……。やむを得ん。鉄砲魚よ、水槽の外へ……」
「だーめ☆ 逃さないよー☆」
宝石の海月の長い触手が、鉄砲口の魚の体を包み込んだ。さらに追撃の毒手を突き刺した。
グタッと横になった鉄砲口の魚は、息絶える前に白い球体へと変わり、ヴァルカンの持つ銅色の宝箱の中へと還っていった。
【劇場版】ヨハネと獣の黙示録 上崎 司 (かみざき つかさ) @kamizaki
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