第11話 開戦
ヒーローショーが終わったタイミングで、ゆうたとたくみは会場に到着した。寄り道をしてきたのか、たくみの手にはコーンのソフトクリームが握られている。
「何かのショーがやってたみたいですけど、少し遅かったみたいですね……」
「真っ先に来なきゃだめだったな……」
2人の男の子は、ガックリと肩を落としながら会場の後ろの方の椅子に座った。
「ベスト8のブラウ・ヴァルカン、見たかったです……」
たくみが呟くと、ステージから再び白い煙が噴出し、先ほどとは別のフリフリのアイドル衣装を着たアザトスがステージに現れた。
「みんなー☆ 今から特別に、秘宝バトルのエキシビションマッチを始めるよー☆」
たくみは「あっ!」と言って立ち上がり、嬉しそうに耳打ちをした。
「ゆうくん、あの人秘宝大会No.4のアザトスさんですよ!」
「マジ!? すげー、本物だ!」
ゆうたも興奮して席を立ち上がると、アザトスは2人に向けて両手を振った。あざとい。
「対戦相手は勿論、秘宝大会No.3の、ブラウ・ヴァルカン選手だよー☆」
「宜しく頼む」
ヴァルカンは観客に一礼して、ステージの奥へと歩いていく。十分に距離がとれたところで、アザトスとヴァルカンは互いに向かい合った。
「秘宝大会以来だな。再び相まみえる日を心待ちにしていたぞ」
「えへへー☆ 私もー☆」
それぞれ手のひらサイズの銅色の宝箱をポケットから取り出し、蓋を指先で弾いて開け、同時に叫んだ。
「開宝(リベレイト)、鉄砲魚(テツハウウオ)!」
「開宝(リベレイト)☆ 宝石海月(ジュエリーフィッシュ)☆」
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