運命を回すオルゴール
木を彫るときは、時に優しく、時に強気に。
ゼンマイを組むときは、時に荒々しく、時に慎重に。
設計図は魔法の書。空はルビーとサファイア。
トルコ石を敷き詰めた舞台の上で、魔法使いの少女と剣士の少女が、踊るように互いを殺す。
彼女たちはそれぞれ相容れない間柄。二人はたがいに出会うことも、共存することもできない存在。
純粋白新を歌う無為の少女と、剣を極め間合いを詰める黒の少女、二人は互いを殺し合い、踊るように世界を彩ってゆく。
二人が奏でる彼らの物語は、あくまでも二人だけの物語。
歯車は回り続ける。まるで壊れかけの機械のように。
いつまでも、何度でも。
彼女たちは出会い、戦い、勝敗を決め、それを無限に繰り返す。
彼女たちの戦いは終わらない。世界が壊れるか歯車がすり減るか、あるいはその両方か。それらが二人を分かつまで、彼女たちは戦いを続けるだろう。
宇宙の中のさらにその奥、海であふれた水の惑星の、その隅にできた小さな大陸のさらに隅、大平原の一角の小さな家のそのまたさらに隅にある寝室の脇の机の上の、小さく仕切られた使い古しの小さな世界。
空はルビーとサファイアで彩られ、大地はかがやくトルコ石が敷き詰められた。そんな不思議な世界の一角に。
歯車が動き、人々が動き、世界が動く。
風がふく。星々がかがやく。大地に色がつく。
生きとし生けるものに、命が芽生える。
呪いをかける魔法使いと旅の剣士の戦い。
どちらがどちらを倒すのか。ペンが勝つのか。白紙が勝つのか。
オルゴールは、ただ奏でる。
もし人々が望むのならば、オルゴールは何度でも世界を動かそう。
いつでも。何度でも。
机の上の、ほんの小さな世界で良いのなら。
溶けないアイスクリームはまるで綿菓子でできたあまくない嵐雲のよう 名無しの群衆の一人 @qb001
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