ダブルミーニングなタイトル

一見すると習作のような印象を受けますが、それ以上にタイトルは深く話の本題と結びついています。一つのテーマがしっかりとある作品なので、習作ならいいか……と読まないのはもったいない一作です。

あらすじとしては、マナという中学生の少女の作った怖い話が実現してしまい、それを真面目で優しく協調性レベル99のボクっ子であるミハルがなんとかしようとして振り回される、という感じのもの。

洒落の聞いた怪談は、怖いというより面白いもので、作者様の高い言語センスが光ります。ただ、怪談自体が怖いと言われるとそこまで……なのですが、本作はしっかりとホラーをしています。

その怖い核の部分、本作の個人的な一番の見どころは、中学生という思春期真っただ中にある、閉鎖的なコミュニティの暴力性です。それに怪談やSNSなどの最新の技術を織り交ぜ、今日的なエンタメに落とし込みつつ、協調性レベル99のミハルが立ち向かっていく……というのは詐欺じゃないレビューだと思います!

最後まで読むとぞくぞくすること請け合いです。夏に背筋を凍らせたい方にピッタリの一作と言えると思います。