第4話 魔力解放
「あ、危なかった…」
間一髪、俺はなんとかその剣をかわした。
「な、なんでこんなことするんだよ!ハンナ!」
すると、桃色の髪をした美少女がその顔に見合わない物騒な物を構え、不気味な笑顔を浮かべこう言った。
「安心してください。魔法は使いませんし、死なせませんからっ!」
「安心できるかっ!剣を振り回しながらいうんじゃねぇ!」
反射的に出てきた言葉を叫び、俺はひたすらハンナが振り回す剣を避ける。
"ん?なんでだろう。なんだか身体が熱くなってきた気がする…"
運動した時とは違う感じだ。まるで熱湯を身体の中に入れたような感覚。疑問に思いながらかわし続ける。
その様子を見ていたのか、ハンナはさっきまで胴体を狙って剣を振り回していたが、急に頭の真上に剣を振りかざした。
"やばい!かわさないと!"
俺は必死にかわそうとする。が、それよりも速くその剣先は髪の毛まで到達していた。
"もうだめだっ!"俺は思わず目をつむった。
しばらく静寂が続いた。目をつむりながら手足の感覚を確認する。感覚がある。生きていた。
ゆっくり目を開ける。すると、目の前に少女が倒れていた。その少女とはもちろん、ハンナである。
身体の周りも確認する。怪我一つしていない。
「どういうことだ…俺はあの時斬られてなかったということか?」
ハンナの元へ駆け寄る。
「大丈夫か?」
手を差し出し、声をかける。
「はい…大丈夫です…」
なんで俺に剣を振りかざしたのか、なぜ俺は怪我をしていないのかという疑問をハンナに投げかける。ハンナは答えた。
「まず、なぜ翔太さんに剣を振りかざしたのかということですが…魔力解放をするため、ということが答えです」
ハンナ曰く、別に俺のことを殺そうしたわけではないらしい。どうやら魔力解放というものは簡単に出来るものではなく、命の危険などといったことがない限り出来ないらしいのだ。
「次に、なんで怪我をしていないのかということですが、それは翔太さんの身体が反射的に防御魔法を発動したからです。」
「俺の身体が?ってことはつまり…」
「魔力解放は成功しました、翔太さんは魔法が使えるようになりましたよ。」
これからどうなるのか、頭の中はそれでいっぱいだった。
勇者の定義って何ですか? 結城カイン* @yuki_kain
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