月が綺麗な日

3ヶ月前まで、月乃のクラスでは男子と女子の間で大きな争いがあった。
男子は女子を貶し、女子は男子を貶す。
終わりの見えない貶し合いの中で、終始一貫して態度を変えなかった北野君の事を、いつしか月乃は好きになっていた。
しかしその恋愛感情は、男女間の争いが終わった事を知らされず一人罵倒を重ねた月乃が虐めの対象とされる事で変わってしまう。
いくら脱却しようと努力しても虐められる状況に、月乃の心は折れかけ、北野君の事を思う事すら不遜と思うようになっていた。

そんな中、修学旅行で旅館の庭園内にある小さな丘に登った月乃は、夜空を見上げる北野君の姿を見つける。