「生々しい」のは「生きている」から。

「こんなんよく書けるなぁ」と感心してしまいました。自分には絶対に書けない、発想すら浮かばない作品に出会うと新鮮ですね。

普段、夢を見ているような支離滅裂な内容のお話は好んで読まないのですが、この作品はすらすら読めました。不快感や嫌悪感が薄かったのは、なにかしら共感するものが散りばめられていたからだと思います。もしかしたら、女性の体を持っている人の方が感覚的に「なんか分かる(気がする)」かもしれません。

性行為に嫌悪感を抱く人はけっこうな数でいますし、でも子供はほしいという人も沢山いますし、そして子供はたいてい残酷だし、この小説ってすごくリアルなことを非現実な世界観にうまく織り交ぜてるんですよね。作品を通してふんわり漂う生々しさは、「生きている者」の匂いなんだろうなと思います。
分かったような、分からないような、分かりたくないような、笑って「うぁ~なんかやめて~!」と叫びたくなる、そんな面白さのある作品です。