白銀世界のスノビズム

代瀬

CtrlZ ~やり直しの悪魔~


 クトルズ。

 それがこの島を巣食う悪魔の名前だ。

 その名前の意味はよく分かっていない。

 ただ、この島に住むものは口を揃えてこう宣うという。


 「クトルズに気を付けろ」と。


 気を付けろだけじゃなんの助言にもならないって?

 そりゃそうさ。

 人間がなぜ生きるのかと聞かれて答えられないのと同じでクトルズも何故存在するのか、どんな見た目をして居るのか誰も答えられない。

 誰もクトルズの正体を見たことがないんだ。

 それは現象であるとも言われているし、生き物であるとも言われている。


 僕はこの島に派遣された公安の悪魔滅殺部隊エギオンミヴァル隊長、ニルハだ。


 古い国の言葉でハが「人」って意味でルハは「神のような」って意味らしいけど、神の存在が証明されたこの世界じゃこんな名前に意味なんてないのかもね。

 深い意味を名前に求めちゃあいけないよ。

 この世界に意味を求めちゃいけないのとおんなじでね。


 さて、仕事に取り掛かろうか。

 まずは現地での情報取集だ。

 チームの一人であるシファナが現地の住人の言葉を翻訳してくれるんだ。


 ふむふむ、なになに。

 クトルズは四つ脚の特大型の悪魔でこの島より大きい、だって?

 なるほど。この住人はクトルズを現象として捉えてる訳だ。

 そんなに大きな悪魔は今まで見たことないから、この情報は違うかな。

 でも、もしいたとしたら僕の手には負えないかもしれない。その時は君に託したよ。

 そう、君だ。


 他の住人にも聞いてみようか。

 クトルズのことを調べてはいけない、見てはいけない、読んではいけない、聞いてはいけない、だって?

 これは悪魔の影響を大きく受けてしまった時に現れる症状だね。

 悪魔に関わりすぎてしまった人はその悪魔を過剰に畏怖してしまうんだ。

 度がすぎると崇拝してしまうこともある。


 クロだ。

 この人物の周りの環境を調べ上げよう。


 鬱蒼とした森林の中にその人の家はあった。

 これは家というよりは悪魔の巣、ヴァルラに近いな。

 まさに悪魔の棲む家だね。ははっ。

 ごめんごめん笑ってる場合じゃないよね。


 じゃあ中に入ろうか。

 少し暗いな。明かりをつけよう。

 シファナが詠唱を唱えると木の棒の先がライトのように光り始めた。

 これは神の存在を証明したときの恩恵さ。神技スキルといって、神様の力をちょこっとだけ借りることができるんだ。

 別にバチは当たらないよ。

 まぁ、その代わりに悪魔がこの世界にはびこることになっちゃったけどね。

 人間の欲の恐ろしさといったら、僕の食欲の何倍も恐ろしいよ。

 ごめんね、無駄話はこの辺りにして先に進もうか。

 家の中は洞窟のように湿っていて、声が反響するくらい広かった。

 おかしいな、外から見た時はこんなに大きく感じなかったのに。

 それに蜘蛛の巣が天井の梁にこんなに張ってあるなんて、悪魔がいたらこんな状況にはならないよね。


 僕らはクトルズを家屋の中で精一杯探したけれど悪魔一匹見つからなかった。

 真っ暗な家の中から出る。

 あれ?シファナはどこだい?

 あ、ああ、そこにいたの。心配したよ一瞬いなくなったからさ。

 え?なんだって?今からこの家を探索するところ?

 いやいやいや僕らは今さっきこの中を探索したばっかじゃないか。

 その記憶がない、だって?

 ふむ。

 聡明なシファナが嘘をつくはずがないよね。

 これは悪魔の仕業だ。

 みんな、退魔具ゼガノンを構えて。

 陣形をパターンΘシータに移行させるんだ。

 ニエンカは辺り一帯の住人の避難を呼びかけてくれ。

 大規模な戦闘になりそうだ。

 まさか、この家自体が悪魔とでもいうのか。

 まぁなんでもいい。僕が悪魔退治に失敗したことなんて今まで一回もないんだ。



 さて、仕事に取り掛かろうか。

 まずは現地での情報取集だ。

 チームの一人であるシファナが現地の住人の言葉を翻訳してくれるんだ。


 ん?なになに?

 もう悪魔は倒した?

 そんなバカな。

 僕はそんな記憶一切ないぞ。

 今から調査に向かうところだろう?

 そ、そんなに主張するなら僕の方が間違っているのか。

 ごめん、悪かった。じゃあ報告しに本土に帰ろうか。


 僕は刀型の退魔具ゼガノンをクトルズに叩き落とした。

 あ、あれ?

 .......クトルズじゃない、これはシファナだ。

 何をしてるんだ僕は。

 だ、大丈夫かいシファナ、今手当の〈生命〉の神技スキルを使うね。



 僕らはクトルズを探したけれど悪魔一匹見つからなかった。

 真っ暗な家の中から出る。

 あれ?シファナはどこだい?

 あ、ああそこにいたの。心配したよ一瞬いなくなったからさ。

 クトルズ。

 それがこの島を巣食う悪魔の名前だ。

 その名前の意味はよく分かっていない。

 ただ、この島に住むものは口を揃えてこう宣うという。

 「クトルズに気を付けろ」と。

 気を付けろだけじゃなんの助言にもならないって?

 他の住人にも聞いてみようか。

 クトルズのことを調べてはいけない、見てはいけない、読んではいけない、聞いてはいけない、だって?

 じゃあ中に入ろうか。

 おかしいな、外から見た時はこんなに大きく感じなかったのに。

 クトルズを思いっきり叩き斬る。

 真っ二つに割れたそれはスイカのような、いや人の頭のような紅を秘めていた。

 それに蜘蛛の巣が天井の梁にこんなに張ってあるなんて、悪魔がいたらこんな状況にはならないよね。

 少し暗いな。明かりをつけよう。

 シファナが詠唱を唱えると木の棒の先がライトのように光り始めた。

 これは神の存在を証明したときの恩恵さ。神技スキルといって、神様の力をちょこっとだけ借りることができるんだ。

 別にバチは当たらないよ。

 人間がなぜ生きるのかと聞かれて答えられないのと同じでクトルズも何故存在するのか、どんな見た目をして居るのか誰も答えられない。

 誰もクトルズの正体を見たことがないんだ。

 それは現象であるとも言われているし、生き物であるとも言われている。

 好きだよ、シファナ。愛してる。

 さて、仕事に取り掛かろうか。

 まずは現地での情報取集だ。

 クロだ。

 この人物の周りの環境を調べ上げよう。

 これは悪魔の仕業だ。

 みんな、退魔具ゼガノンを構えて。

 陣形をパターンΘシータに移行させるんだ。

 僕はこの島に派遣された公安の悪魔滅殺部隊エギオンミヴァル隊長、ニルハだ。

 チームの一人であるシファナが現地の住人の言葉を翻訳してくれるんだ。

 クトルズのことを調べてはいけない、見てはいけない、読んではいけない、聞いてはいけない、だって?

 僕は刀型の退魔具ゼガノンをクトルズに叩き落とした。

 じゃあ中に入ろうか。

 痛いよ。

 その記憶がない、だって?

 クトルズじゃない、これはシファナだ。

 僕はそんな記憶一切ないぞ。

 ニエンカは辺り一帯の住人の避難を呼びかけてくれ。

 誰もクトルズの正体を見たことがないんだ。

 ん?なになに?

 もう悪魔は倒した?

 そんなバカな。

 僕はそんな記憶一切ないぞ。

 今から調査に向かうところだろう?

 そ、そんなに主張するなら僕の方が間違っているのか。

 ごめん、悪かった。じゃあ報告しに本土に帰ろうか。

 シファナ、綺麗だ。

 悪魔に関わりすぎてしまった人はその悪魔を過剰に畏怖してしまうんだ。

 シファナ、愛してる。

 度がすぎると崇拝してしまうこともある。

 クトルズ。

 それがこの島を巣食う悪魔の名前だ。

 深い意味を名前に求めちゃあいけないよ。

 この世界に意味を求めちゃいけないのとおんなじでね。













 これは罰だ。神に生まれた故のね。


 そして僕らは願いを叶える立場で願いを叶えることのできる存在でもある。


 でも、それをしないのさ。

 

 なぜか分かるかい?


 それはね。

















 


「して、神の子らはどうなった?」


多元世界連結装置マルチバースモジュール........は旧名でしたね、失礼しました。神摘出装置クトルズを取り付けたのでもう目覚めることはありませんよ」


「......バチは当たらないだろうか」


「バチなんて当たりませんよ、ははは」


 ヨハンは口角を上げることなく笑った。


「これからは私たちが神であり悪魔なんですから」

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