とある村に住む少女の一人称による、どこか不思議な雰囲気の漂うお話です。
大変に波乱万丈で、悲惨といってもいい人生を送る彼女ですが、その語り口はどこかユーモラス。ですます調がやさしい雰囲気を作り上げていて、重苦しさをふわりと軽くしてくれています。
後半になって、「実は○○○は○○だった」という衝撃の展開が明かされます。
予想をしていなかったので驚きました。これを最初から知らせずに、後半で明かすことで作品のインパクトが強まっています。
のんきに読んでいましたら、気持ちよく想像を裏切られました。快感です。
そして最後がとびきり切ないです。泣けます。
主要キャラの運命は不遇なためやりきれなさもありますが、それ以上に人が人を想う気持ちが強く描かれているので、読み終えたときには悔しいというよりはやさしい気持ちになりました。
短い中に、様々な心を動かす要素の入った良作です。