終幕

「…………!?」

「目が覚めましたか?昨日、急に気を失ってしまったものなのでどうなるかと思いましたが無事で良かったです。」

日丸の左手首には包帯のようなものが巻かれ、既に治療済みであった。

「…日丸様は今度こそこの村を離れてしまうのですよね…」

そう、彼はいつまでもこの村に滞在する訳にはいかない。彼女のためにも離れなければいけないのだ。

「あまり無理はなさらないように。では、また。」

体を起こして日の光が照らす玄関に足を入れた時、日丸は自分の思いを告げた。

「………好き…」

「えっ…?」

「………君が。」

おぼつかない感じだが言えることは言ったつもりだ。

「ありがとう…そう言ってもらえて嬉しいです。でも私は働く身。他にたくさんのお客様が待っていますので……返事は保留させてもらいます。」

「…いつかまた…ここに来る。」

「はい。私も待っていますから。また来てくださいね。」

今度こそ菊との別れを告げた日丸。今までの潤いが無かった目はどこへやら、今の彼の目には光がある。


そして、彼はふっと笑った。


完。

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日丸の刀 Next @Trex

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