終幕
「…………!?」
「目が覚めましたか?昨日、急に気を失ってしまったものなのでどうなるかと思いましたが無事で良かったです。」
日丸の左手首には包帯のようなものが巻かれ、既に治療済みであった。
「…日丸様は今度こそこの村を離れてしまうのですよね…」
そう、彼はいつまでもこの村に滞在する訳にはいかない。彼女のためにも離れなければいけないのだ。
「あまり無理はなさらないように。では、また。」
体を起こして日の光が照らす玄関に足を入れた時、日丸は自分の思いを告げた。
「………好き…」
「えっ…?」
「………君が。」
おぼつかない感じだが言えることは言ったつもりだ。
「ありがとう…そう言ってもらえて嬉しいです。でも私は働く身。他にたくさんのお客様が待っていますので……返事は保留させてもらいます。」
「…いつかまた…ここに来る。」
「はい。私も待っていますから。また来てくださいね。」
今度こそ菊との別れを告げた日丸。今までの潤いが無かった目はどこへやら、今の彼の目には光がある。
そして、彼はふっと笑った。
完。
日丸の刀 Next @Trex
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます