老い先短い恋物語

 登場するのは三人。痴呆の老人。介護老人。その孫。

 近頃の流行りもののような、特別強烈な個性を持ったキャラクターが存在するわけではありません。
 ファンタジー要素があるわけでもありません。
 劇的な伏線回収があるわけでもありません。
 ミステリでもサスペンスでもなく、なんなら悲劇でも喜劇でもありません。

 しかし、それでいて素晴らしい。
 しわがれ、渇き、まるで枯れ枝のようでありながら、とても暖かなお話でした。

 よろしければ、広く開け放たれた和室の中でご一読ください。