8.読者を離さないための最大の努力は、早く書くことだ。
おれ、既読。
前回は第1話から続きを読ませる方法について書いた。今回は第2話以降の離脱を防ぐ方法について書く。
離脱は意外なほど作者にとってのダメージになる。
話数が30以上に及ぶ作品の場合、各話できっちり20%ずつ離脱していくと、1話が1,000PVある作品でも22話の時点で10PVを切ってしまう。
そうなったとき、10人のためにおまえらは書き続けられるだろうか?
だから離脱率を減らすことは、書き続けるためにも重要なのだ。
特に短期間で書き上げるような高いモチベーションを維持する必要がある場合は、読者を離さないための工夫が大切になる。
■早く書け。それが最大の離脱防止だ
20日で10万字書いてみるとよくわかる。
2話以降で読者が離脱する最大の原因は「続きが無い」ことだ。
おまえの作品を気に入ってくれた読者は、とりあえずアップされている最新話まで読んでくれるかもしれない。
単にそれだけでも早く続きをアップしたほうがいいが、それだけではない。
更新までの期間が空けば空くほど、再訪してくれる読者の数は減るのだ。
考えてみれば当たり前のことだが、連日更新していてたまに休むと、これが数字に如実に表れてくる。
更新が遅れた話数を境に、読者がガクッと減るのだ。
だから、早く書け。
それが読者を維持する最大の手段だ。
早く書くことで、読者が離れず、モチベーションは保たれ、だから早く書ける。
この好循環を自分から断ち切るな。
■おまえは毎日何文字書くつもりだ?
おまえが働きながら書くつもりなら、1話の文字数はできるだけ少なくしろ。
1日に書く文字数を5,000字と定めたら、1話の文字数はそれ以下だ。
そうすれば、毎日更新できる。
文字数を少なくするメリットは、毎日更新できる以外にもある。
まず、読者の体験をコントロールできる可能性が上がる。
前回も書いたが、Web小説を読む人の状況はさまざまだ。
電車の中で読む人もいるし、うんこしながら読む人もいる。
与えられた2~3分の時間で、「また読もう」と思わせる必要がある。
1話を短くすれば、読者が中途半端な位置で離脱することを防げるのだ。
さて、こう考えると1話の文字数を単に短くすればいいわけではないことにおまえは気づくはずだ。
そう、「1話分の楽しさをしっかり確保したうえで可能な限り短くする」ことこそが重要なのだ。
各話に必ず「読みどころ」を設けろ。
山場と山場をつなぐための谷間であっても、無意味な回はつくるな。
むしろそうした谷間の回こそ、読者を楽しませる工夫をしろ。
そうした条件を満たしたうえで、可能な限り各話を短くすること。
それは言い換えれば、話の魅力を損なわずに短くまとめる力を磨くことでもある。
短く、しかも楽しい作品は、読者が離脱しない。
読者の時間を奪わず楽しませる、ユーザーフレンドリーな作品だからだ。
■GAは見るな。とりあえず入れておくだけでいい
おまえらはおれが離脱率のはなしをすると、すぐGoogleアナルスティックを見るのがめんどうだとか言いだす。
見なくていい。
おれはWebサイトの運用が本職だから、GAとは毎日にらめっこしている。
だから、GAのことはよくしっている。
はっきり言うが、アクセスがない状況でGAを見てもただの時間の無駄だ。
それに、標準のUIは小説のアクセス状況を確認するのに向いていない。
意味のある情報をすばやく読み取れるようにするには、目的別にカスタムレポートを設定するか、いちいちディレクトリやディメンションを指定する必要がある。
そんなことをしている暇があれば、小説を書け。
GAとにらめっこするなら、書籍化が決まったあとか、10万PV稼いだあとにしろ。
それからで遅くない。
というか、そこからならGAは有効に活用できるとおもう。
各話の離脱率を検証すれば、谷間になっているところを改善することができるし、ユーザー情報から自分の作品がどんな人に刺さっているのかを調べることもできる。
書籍化も10万PVも取ったことがないから知らんが。
だから、とりあえず入れておくだけ入れておけ。
見るのはあとでいい。
■読者を楽しませることを楽しめ
いろいろ書いたが、重要なのは、読者を楽しませるしかけを考える過程そのものを、おまえ自身が楽しむことだ。
20日で10万字を書いてみて、おれが得た最大の成果は、小説を書くのが楽しいと思えたことだ。
当たり前のことだが、いつの間にか見失っていた感覚だった。
毎日更新があると、読者は毎日読みに来る。
毎日読みに来ると、作者との距離が近くなる。
読者の反応に作品が応じると、ライブ感が出る。
読者の反応が、ますます多くなる。
読者は意外なほど、おまえの工夫をよく見ている。
きっとおまえは、工夫をするのが楽しくなるはずだ。
次の話はもっと面白くしてやる。
純粋にそう思えることは、とても幸せなことだ。
だから、試しに早く書いてみたまえ。
きっと楽しめる。
まだ書きたいことはたくさんあるが、おれはそろそろ小説を書くほうに戻ろうと思う。次回は最終回だ。読者にフォローさせる方法について書く。
働きながら20日で10万字書いてみて分かったこと 既読 @kidoku1984
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