本部に着くと何やらいつも以上に周りが騒ついていた、何か大ごとでもあったのだろうか。

そして周囲の視線が何故かあかねに集中している気がする

その視線に違和感を感じながら茜は長官の待つ部屋に向かった

コンコンコン…

「入れ」

「失礼します、長官お話とはなんでしょうか?」

「ああ、茜くんか…」

心なしか長官の顔が曇った気がした

「まあそこに座ってくれ」

茜は妙に重い空気の中ソファーに腰を掛けた

「茶でも飲むかね?」

「ではお言葉に甘えて」

上司からの気遣いには甘えておくものだ、そしてこの部屋の茶はとても美味しい

「では本題に入ろうか」

「はい」

空気が更に重くなった

「実は今日テロの予告があったんだ」

「テロですか?」

「ああ、犯人グループからの予告メッセージに近いものが本部宛に届いた。中にはある人物への復讐を果たすために行動するとの文章が、そして第一の予告の爆破テロの内容が書いてあった。我々は直ちに現場へ急行したが時すでに遅く爆破は行われていた。幸いにも被害者は0だった。そして予告文にはまだまだこの復讐は続くと書いてあった」

「そんなことがあったんですね。だから今警視庁内が慌てていたんですね」

何故私にこんな重大な話をするのだろうか、普通はテロ対策本部のトップに話すべきである

こんな疑問が浮かぶと同時に脳裏に嫌な予感が走った

「あの長官、この話を私にするということは…」

「ああ、奴らの最終的なターゲットは東島秀一郎総理、即ち君のお父様だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俗人達のバベル @renchaso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ