俺の戦いは……

最終話 俺の戦いは……

 俺は病院でベッドに横たわる仲間たち三人に視線を向けた。


 セロ。この三人の中では一番軽傷と言える。それでもボロボロだったが、彼からは確かに笑顔が出ていた。


 続いてダーカス。

 まぁ、かなり重症だ。俺が森の中で会った時、既にボロボロの状態だったのに、そこからさらに戦闘を行ったのだ。

 結果として腹をロサインの手によってぶち抜かれることになる。


 だが、幸いにも一命は取り留めることができていた。やはり、つい昨日まで俺がお世話になった最高の魔術医師が見てくれたのが大きかっただろう。その医師が言うには、俺の時のほうがよっぽど重症だったそうだ。


「てめえ、何見てんだ!? あぁ!?」

「す、すみません!」


 こうやって、俺に対して睨みつけてくるほど元気になられました。


「まぁ、本当につい昨日まで立場が逆だったんだからねぇ……。本当に信じられないよ」


「……ですね」


 本当にセロの言うとおりだ。つい昨日までベッドで寝ていたのは俺だったなんて、ちょっと嘘みたいだ……。

 それほどに、昨日の……ロサインとの戦闘が濃かった……いや、濃すぎた。時間にしたらほんの数十分の話だったはずなのに……。


 ちなみに、あのあとロサインは援軍に来てくれた軍によってのびているところを取り押さえられた。今は、牢屋にぶち込まれているらしい。


 ロサインが言った、エリュトロンレオ団乗っ取りの件も事実だったらしく、実質の指揮権はロサインにあったらしい。その結果、団の暴走、ゲルプイーグル団にちょっかいをかけてくるようになっていたらしい。


 今後は、新しい団長が建てられ、再建が試みられるらしい。


 また、あの魔法陣に関しては、バリアもあって、残り少ない俺では突破できなかった。その分も、援軍の人たちにやってもらった。


 そして……。


「マト、具合は?」

 俺はベッドに寝る三人目の仲間、マトに視線を向けた。


「う~ん、まぁ、よくなってきてるよ」

 そう言ってマトは両手を振ってみせた。


 解毒剤は無事回収され、速やかにマトに投与された。結果として、マトも一命をとりとめ、こうして集中治療室から出来ることができた。

 まだ、手足の痺れが残っているらしいが、順調に回復へと向かっているらしい。


「ケイジ、君のおかげだよ」

「……俺だけじゃないけどな、やっぱり俺一人じゃ、あいつには勝てなかったよ」


「それでいいじゃない。仲間が言って一緒に闘って勝ったんだから、それは紛れもない勝利だよ。それに対して、力不足を感じるなら、これからもっと強くなればいい。


 あたしだって、今回の一件で、まだまだ弱いって思ってしまったからね。肝心なときに何もできなかった」


「そ……それは、俺のせいだよ! 俺をかばったからマトは……! だから、その分も含めて」


「謝る必要ならないよ」

 マトは俺の言葉を遮るように手を俺のほうに伸ばした。でも、上げるのにも一苦労なようで、そのままだらりと垂れる。


「謝りたいんなら、その代わりに強くなってよ。あたしと一緒に戦えるほどに、あたしを倒せるぐらいに、さ」


「……分かった。強くなるよ……。誰にも負けないために」





 俺はこれからもゲルプイーグル団で頑張っていくつもりだ。そして、ここに入雨上、また今回みたいな、下手すれば今回以上にやばい強敵に出くわすかも知れない……。

 いや、きっと出くわすことだろう。


 でも、俺は負けない。俺はチート並の力を授かって、この世界に来た。残念ながら今の俺には、その全てを引き出せていないみたいだけど、存在能力はあるらしい。強くなれる素質はあるんだ。


 俺は、もうこの世界で生きるしかない。でも、それを嘆くことはしない。俺に出来る限り、戦い続ける。


「よしっ」


 俺は拳を作り、天に突き上げた。


 俺の戦いは、これからだ!

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チート能力を貰って異世界に行ったが、周りにチートがゴロゴロいやがった。~話が違う!~ 亥BAR @tadasi

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