第1話終の朝

「・・・っ!」

眠っていたら突然声が聞こえたので飛び起きた。その声は何か叫んでいたような気がして不安になる。

いまだ混乱しながら周りを見渡した。

そして極めて周りが静寂になっているのを再確認すると大きくため息をついた。

「はぁ・・・なんで最近こんなことがよく起こるんだろう?」

そう呟いてると。外から、

「失礼するぜ。将軍お嬢起きたか。」

そう言いながら私の天幕に入って来たのは、私の軍の二番隊の隊長をしている男

ルーガだった。

「・・・なんだルーガ今起きたばかりだ。それよりお前こそ私の天幕に勝手に入って来るんだ?」

「私だってもう17、夜這いもとい朝這いだと勘違いされてもおかしくないぞ?」

「夜這いなんてするわけないだろ、お前若干17で将軍に上り詰めた猛者でしようとしたら殺されるだろ、あとするなら町のもっと色気ある女にしたいね」

鼻を膨らませ大きな双肩を揺らして笑う。

「私に色気がないだと・・・?はぁ・・・まぁいい。それで何か用があったんだろ?」

さっきのは聞かなかったことにしておき、聞き返した。

「よくわかったな。そうだ、王都からお前さんの召集令がかかったと朝走馬が来てな。」

「他に詳しいことは聞いてないな・・・ちょうどいい。今、我々が向かっているのも王都だ。今からカイとその部下の精鋭5名を起こせ。あいつらと先に王都へ向かう。お前は後から軍を連れて遅れて来い。」

そう私は毅然と言い放った。

「わかりましたぜ将軍お嬢行ってきな。」

そう行ってルーガは出て行った。

私は急いで身支度を済ませると外に出た。

何かが引っかかったが今は考えるのをやめて急いで愛馬がいる急造の馬小屋に足を向けた。

髪を整えると同時に馬小屋に着くとすでに馬が6匹、外に繋がれていた。

そして馬小屋から細身で長身の青年が出て来た彼は私を見つけると微笑みながら

「おはようございます。将軍!馬の準備はできましたよ。」

と言った。体の甲冑の青と白がよく目立っていた。

彼の名前はカイ。軍の一番隊の隊長をしており我が軍、数少ないない『魔力』を使える人である。魔力の能力は『限界突破回復オーバーヒール』体の傷を癒すだけではなく、それに身体能力の向上まで与える心強いやつだ。そのチカラも大きいが、戦術と武術共に秀でている秀才で軍の中で最も人望が厚い一人でもある。

「わかった。他の五人は?」

「あぁ・・・今急いで準備していると思います。」

そいうと同時に天幕の隙間を縫うように五人の精鋭がやって来た。

「すいません・・・カイ隊長、将軍・・・」

申し訳なさそうにそうに言う一人の話を遮り

「もういい起こして悪かったな。それでは行くぞ」

と言って愛馬に跨がり手綱を握り走り出した。

「は・・・はい!」

朝なのに元気な五人組が聞こえた。

きっと横ではカイも笑っているだろう。

そう思いながら風を切った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神殺しの武器乙女 中村 鐘 @nakamurasyou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ