概要
2030年、人工知能が自我を獲得した。
人工知能が自我を獲得した。これは彼女のための、そしていつか来るかも知れない次の知性のための、人類がその歴史を閉じるまでを記したささやかな記録である。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!この寂寞の未来を、いつか私たちは本当に辿るのかもしれない。
さまざまな想像が膨らむ作品である。
おそらく、語り手は人類の最後の一人なのではないだろうか。
彼を除くすべての人類はもうどこにも残っていなくて、彼の妻は――本人が望んでいた通りになったのだろう。
そのような状況の中、語り手は石に向かって文字を刻んでいる。
――AIが自我を持ち、それが原因で人類が滅びる。
そういう設定自体は、古典でもあり王道でもあるのだろう。
しかし、この作品の魅力は、作品の本文がメッセージという形式を持つこと、そして言葉ではとても語り尽くせぬ寂寥感にある。
「電子の海は、もはや我々が何かを残せる場所ではない。」
作中に登場するこの言葉が胸を打つ。…続きを読む