第5話 新たなる少女の登場!!

修羅の町、北九州フコーカ地方。

北にグンマー自治州との県境界を持ち、東に超未来国家オカヤマ、要塞都市トキオ、チャカと首狩族たちの収めるコウベ、超未来国家オカヤマ、在オカヤマ國ソ連邦亡命政府と国家なき革命軍団がその背後につく。

フコーカ自治州が武力を持ってその治安を維持しようとするのは、いわば歴史の必然であった。

UH-60Lブラックホークとそれらに乗った米軍特殊部隊SEALDSたちがフコーカ市の大将軍アルアシッドを逮捕せんと編隊を組んで空を飛ぶなか、オレ、たかしは歩道を走っていた。


忘れ物をした兄さんを追いかけることもなく、また時速5キロで一定の速度を維持しながら走り続けることも誰かに話しかけられても立ち止まってはいけないなんていうルールは存在しない。

もとろん秒速10メートルで線AB間を動き続ける謎の点pもいない。

空は晴れ渡り、遠くにヘリコプターのホバリング音。装甲車の車列が道を駆け抜け、風は気持ちいい。

オレ、たかしは気持ちよくいつもの通学路を走り続けた。


交差点に差し掛かった時、オレは後ろを振り返った。さっきバズーカで吹き飛ばした女の子、白井さんが追いかけてこないかちょっと心配だったのだ。

「うん、まああれくらいなら多分だいじょうぶだよね」

修羅の国と揶揄されるフコーカ地方では、バズーカの暴発や直撃は小学生か幼稚園の時に予防接種的なん感じでみんなやっている。あれで生き残れないのであれば、この国に生きる意味なのないのだ!


いやちょっと言い過ぎかな?

20ミリ対戦車ライフルでも結構痛いから、さいきんの子だったら泣いちゃうかもしれない? まあよくわかんないけど!


青信号が点滅して、赤になる。交差する道路から武装民兵をたくさん載せたピックアップトラックが勢いよく発進し、続いて横断歩道をAPG(対戦車ロケット。この地方では警察のヘリコプターを撃ち落とすためによく使われる)や軽機関銃を持った覆面のトルクメニスタン人たちが市街地に向かって大量に走っていった。


続いて、どうも味方に取り残されていったらしい米軍の特殊部隊が壁沿いを小走りに進んでいく。

「こちらデルタフォーオー、スーパーシクスティーワン、交差点についた、どっちに進めばいい?」

『デルタフォーオー、直進しろ。ふたブロック先の小道を右に回り込んで次の大通りの前で止まれ。暴徒を迂回できるぞ』

「わかった前進する。キース、ジョンソン! 先に行け、援護する!」

小隊長らしき兵隊が後ろを振り返り、メンバーの2人を指名して前に進ませる。

一通り特殊部隊たちが青信号を渡っていき、最後の小隊長が渡りきったところで信号は点滅から、赤になった。


ここはそういう世界である。いいね?


オレは次の信号が青になったのを確認すると、右っ、左っ、もういちど右を見てA-10サンダーボルトの対地攻撃がないことを確認してから道路に飛び出した。


道路を真ん中くらいまで渡ったとき、大型車が交差点に突っ込んでくる気配がした。

オレははっとした。

残念、地上はあんまりよく見てなかったかなぁ〜


「あっ!?」

気づいた時にはもう遅かった。大型トラックはすでにオレのすぐ目の前まで迫り、このまま猛スピードでオレを跳ねる勢いのまま止まらない。


ウォォン!!!!

路地裏でバイクのエンジンがかかる音。

飛び出すスポーツバイク。黒塗りのライダースーツ。銀色に輝くフルフェイスヘルメット。

バイクの燃料タンクに流れるように描かれたオレンジの文字『Ghost rider』。

その姿は敵に突貫する黒騎士のよう。左手に構えた特大対物ライフルM-62を暴走トラックに数発撃ち込み、撃った反動をバイクを左に大きくハングして打ち消し回り込む。

タイヤとボディを撃ち抜かれた暴走トラックは傾き、倒れ、オレのすぐ横をかすめて反対側の建物に突っ込んでいって爆発した。


バイクの女がオレのすぐ目の前に急停止する。いや、女だ。胸があるし、腰回りも細く、ピチッとしたライダースーツが女性的な体のラインを強調していた。

「乗りなさい! 話はあとよ!」

「えっ、は、ハイ!!」

常識的な人間性を持っていると自負するオレは、彼女の有無も言わせぬ言葉と周りのあまりにも早い流れと変化に完全に飲まれてしまった。急いで彼女の後ろに乗り込み、体重をバイクに預ける。

横転し爆発したトラックのドアが開き、なんかどこかで見たことあるようなヒトが飛び出してきた。

「まぁ〜て〜〜〜!!!! この借金泥棒!ゆるさん!」

「に、逃げてください名前も知らない人!!」

「はいよ、しっかりつかまって!!」

バイクの女は前ブレーキを強く握りつつ後輪を高速回転、その場でスピン回転すると、バイクのブレーキを一気に解放して猛発進した。

さらに、加速とギアアップのために大口径対物ライフルM-62を捨てる。M-62を手放した黒塗りのバイク、DUCATI916はさらなるパワーを求めて超加速した。


振り返ると、さすがに白井さんもバイクのスピードについてこれないようで次第に息が上がり、遠ざかっていき、膝をついて、小さくなりながら「ちくしょー!」と叫んでいた。

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振り返ればそこに美少女借金取りがいて 気づけばオレの胸の鼓動はどんどん高まっていくんだ‬ 名無しの群衆の一人 @qb001

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