Never ending LOVE story ～ラブストーリーは、終わらない～

プロローグ

この世界に住む生物には寿命がある。

寿命が尽きたとき、生物は死を迎える。

死を迎えた生物は、再び生を受ける。

業を解消し、自らに課した題を理解し、魂が成長し続けるまで、何度も輪廻転生を繰り返す。

それが、地球という星に暮らす、生物の宿命なのだ―――。

どういう生（ライフ）を送るか、課題に沿った物語（ストーリー）を書き記し、そのためにどういう環境、人、場所、外見、頭脳、精神、状態、等々が必要かを、あらかじめ決めた上で生まれ変わり、地球という星に歴史（ヒストリー）を創り上げる。

その生の間、出会う者、関わる者の数も決まっている。近年、通信技術の著しい発達のおかげで、関わる者の数は増える傾向にあるが。

私は何度か生まれ変わった。

覚えている限り、すべて人間である。

あるときは、イスカンダルの町に暮らす身分の高い女。

あるときは、ロームに暮らす領主。

あるときは、十字軍国家の騎士団に所属。

あるときは、科学を推奨する小さな国の姫（プリンセシア）。

ここまで私は中東や欧州（ヨーロッパ）と呼ばれる地域で転生を繰り返していたが、この後、日本という国に渡る。

おりしも日本は鎖国のとき。私は出島にいた。

そこで私は白い蘭の花のごとく、高潔な遊女となり、客だった蘭国人医師と恋におちる。

しかし彼は時満ちて蘭国へ帰した。

私はまた、愛する人と結ばれることができなかった―――。

あなたには毎生出会っている。なのに私の恋は実らない。

罪のないたくさんの命を犠牲にした責任を負い、私は愛する人と結ばれない運命の輪に囚われ続けているからだ。

この悪業（カルマ）が続く限り、私は誰も恋してはいけない。

私は愛する人を愛せない。

愛のない終わりなき世界に、私は永遠に閉じ込められたままなのか。

今世でも私のカルマはまだ続いている。

私はあなたに恋してる。

だけどあなたはそれに気づいていない。

だから私たちのラブストーリーは始まらない。

あなたは私の愛する人になる。だから気づいて。

私がどれほどあなたを愛しているのかを。

あなたがどれほど私を愛しているのかを。

運命の輪を断ち切りなさい。

そして囚われの世界から外に出るのです。

勇気を出して、佳奈芽。

力を貸して、匠さん。

終わらないラブストーリーを、あなたと始めるために。