その先、立入禁止。

泡沫 希生

ある夢のお話

 ある時からこんな夢を見るようになった。

 薄暗い路地裏にある、古びたマンションの入り口に立っている夢だ。

 ガラスが割れた扉の前には立入禁止と言わんばかりの、規制線がはられている。

 壁もあちこち剥がれたマンションは、天まで届くかのようで、近くで見ると歪んでいるように見えた。


 最初はそんなマンションを見るだけだった。

 それが段々と中に入りたくなった。「入るな」と示されると入りたくなるのが人のさがだ。


 けれど同時に、入ってはいけないような気もして、何度も夢の中で悩んだ。おかげで段々と快眠ができなくなり、日中眠気に悩むようになった。

 だから決めた。生活に支障が出るくらいなら、中に入ってしまえばいいと。


 そうしてある日の夢。私は規制線をくぐり抜け、マンションの中に入った。中はもやがかかったように風景が歪んで見えた。

 それで出口を見失い、とりあえず歩いていたらいつの間にかここに来ていた。







 あなたもそうして天国ここに来たんだろう?









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その先、立入禁止。 泡沫 希生 @uta-hope

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