文字は、振る舞う

中島敦の『文字禍』は、文字に憑りつかれて殺された研究者の話である。
文字は人間によって発明されたが、その利用のために人間は弱くなっている云々。
この物語は、そんな文字の禍などどうでもいいように、人間に発明されたのがまるで嘘であるかのように、文字がオーロラとなって空に振る舞う。
一度でいいから、そんな景色を見てみたい。
文字が人間の手を離れて、自然の中で自由に……きままに振る舞うその姿を。