第4話 ハプニングな出会い
(にしても……遠いな……)
広大な学園内には、お城のような校舎と、隣接した約一キロ平方センチメートル程の室内の闘技場がいくつもあり、それはこの学園の生徒数の多さを物語っている。
(入学式と言っても、どの闘技場に集合なのか?)
この学園に入るのに、大きな試験などは必要とされなかった。
と言うのも、マナをもつブレイカーは将来は鬼を倒すことを仕事とした
それらを育成する機関というもの、必要とされるのはレンジャーの素質とされるマナなのだ。
しかし建前上そうなっているが、この学園都市マナティクトはブレイカーの保護施設としても役を立てている。
(否、本来そちら側が本命なのかもしれないなっ……うわっ!)
ドンっ!と、アラタの前体に強い衝撃が走る。
「うわっ」
「きゃっ」
アラタは考え事をしていたせいか、反応や受け身がとれず、足がもつれそのまま地面に
そして、聞こえなれない女性の自分とは違う高い声が
「いたたっ。なんだ?」
左手は地面のアスファルトを触れている。しかし、この右手が触れているのは一体?
ふわふわでプニプニで指が一本一本沈んでは弾む感覚。なんか気持ちい。
アラタは調子に乗り
「ひやっ!ちょ…ちょっと……」
アラタは、徐々に嫌な予感がしてきた。
そもそも、未だ瞼を開いていないし、それに、今から開くのめっちゃ怖い!
(これって、絶対に
アラタは勇気を振り絞り、怒られる覚悟で瞼をそーっと開く。
そして、その瞳に写ったのは今にも泣き出しそうな黒髪ロングの女の子の姿だった。
当然、俺の右手はその子のおっぱいを掴んでいた。
「いやっ、あのっ。すみませんっ!」
アラタは本物のおっぱいに触ったことへの恥ずかしさや感動、それに俺が上から股がっている涙目の彼女への罪悪感に混乱し、直ぐ様立ち上がり、
その土下座は流れるようにスムーズで見惚れるものだった。
<hr>
それから1分程経った。
顔を上げるのがめっちゃくちゃ怖い!
あれ?これって、上げたらダメなのか?でもめっちゃ気になる!
そう、アラタが心中で嘆いていると遅めの反応が帰ってきた。
「もう、顔上げていいですよ」
彼女の指示に従いながらも、恐る恐る体を上に上げた。そして、顔と一緒に視線を彼女のご尊顔へと移す。
彼女は微笑んでいた。
怒るわけでもなく、泣くわけでもなく。
「私はユナ。
(は?)
そう彼女、柏崎ユナは喋りかけてきた。
いやっ、可笑しいだろ!
怒鳴ったり殴ったりしてもおかしくない状況だぞ!なんだ?都会は胸を触られるのは日常的な事なのか?
それじゃ、さっきのは許してくれたってことか!
いや、もしかすると、何かしら企てているのかもしれない!
あらぬ疑惑が次から次へと心配から産まれ、それに体ごと埋もれそうになる。
だが、ここは空気を読んで。
「俺は草薙アラタ。アラタでいいよ」
普通な自己紹介でよかったか?
一体何を求めているんだ?
疑惑は徐々に恐怖へと変わっていく。
「アラタか!うん。よろしくね!アラタ」
(えっー、普通に返してきたんだけどー!)
もう全く何がなんだか分からないアラタは、怯えるだけではダメだと悟り、攻めに行こうと思った。
そうだ。ここできっぱりと丁寧に謝り通せば、あとから難癖つけられずに済むだろう。
「さっきはごめんね!ぶつかったりして。怪我とかしなかった?」
アラタは頭を撫で下ろし謝りながら、相手の、柏崎ユナの反応を見ていた。
この反応でどんな手を使って来るかわかるはずだ。
「ん?何の話?」
(はっ?)
アラタはユナの交わした反応に驚く。
ドウユウイミデスカ?
「何の話って、ついさっき俺たちがぶつかって、倒れて……胸を……」
アラタが「胸」と口に出した途端、ユナのオーラが背景が、鬼の形相へと変わった。
「な・ん・の・話かな~?」
あっ、はい。
アラタはやっとのことで察しがついた。
(無かったことにしようとしてるな……)
「いや。何でもありません……」
<hr>
女って怖い!
マクガフィン 高本マサレ @gushitomoki
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