第3話 登校するブレイカーたち
「ふぅ……はぁ…はぁ……」
何回振っただろうか?
汗は下着を通り越しジャージにまで染みついてきていた。木刀を持つ腕も疲労がきたのか少し痺れがきている。
ピーー!ピーー!ピーー!
またもや高い音がアラタを驚かせる。
どうやら持参していた携帯電話のアラーム音のようだ。
このけたたましい音を止める為にアラタは木刀の収納バックのポケットから急ぎケータイを取り出す。
今時珍しいガラパゴス携帯だ。
パカッと手首を捻る勢いのみでその画面を表にあげる。次に液晶画面に表示されている通りに通話終了ボタンでアラームを止める。
それから、視線をデジタル表記の時刻に移す。
「やばい!遅れる」
そこに表記されていたのはアラタを急がせる時刻だった。
アラタは木刀とケータイを収納バックに押し込み急ぎ家へと帰宅した。
「マジでヤバイって!」
だそうだ。
<hr>
「の!りまーす!」
アラタは現在発遅刻ギリギリ行きモノレールの横開きのドアが締まる寸前、乗務員さんに叫び、飛び乗る。
このモノレールを逃したら、入学式なのに遅刻という残念な第一印象を得てしまう。
アラタは胸を撫で下ろし、深呼吸して躍動する鼓動を落ち着かせる。
(よしっ)
これから始まる学園生活をアラタは内心楽しみにしていた。
幼い頃から殆どを親戚である爺さんのもとで修行もとい暮らしてきたアラタにとって初の自立であり、学生としての人生なのだ。
先程落ち着かせた鼓動が、ワクワクと膨らむ期待と共に再び動き出す。
(頑張るぞ!何事も)
今から向かう学園の制服である着なれないブレザーの駅に走ったせいか乱れをただし、揺るんだネクタイをキュッと引き上げ、それと同時に気合いを取り戻した。
「続いては……学園マナティクト前……学園マナティクト前……お降りになるかたは………」
そうアナウンスが告げ、なり終えると同時にドアが開く。
アラタはモノレールから外に踏み出す。
<hr>
(おぉー!スゲーーー)
モノレール駅から出たアラタの目の前に広がるのは、「マナティクト学園」と書かれた存在感ある大きな門と、ここからでもその大きさがわかるほどのそびえ立つ学園校舎だった。
「流石、国際協力機関。デケーな」
心からの感動が、声に出てしまうほどだ。
周囲には同じ制服に身を包んだ年の近い少年少女達が同じ校舎へと向かっている。
(コイツら全員、俺と同じブレイカーってことか)
この学園で育て上げるのは、唯一、どの武器も効かない鬼に対抗できる存在である、時代の価値観を壊した存在、
実際のところマナを持つものは確認されているだけでも世界中1千万人程で。
その中でも鬼を倒せる可能性があると言われるのレベル2以上が十万に満たないか?程度だという。
レベルは上がるものだが、一つレベルを上げるにもそれ相応の経験を積まなければいけないらしい。
アラタのマナのレベル2は先天的なものでその苦労は分からない。
そもそもアラタ自信、自分のマナをよくわかっていない。
ブレイカーとして致命的だ。
だからこそ、鬼を倒せる可能性を得る為に自分のマナを熟知するためこの学園に来たと言っても過言ではない。
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