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 デルヘルムより少し離れた草原にある小高い丘の上で、巨漢の男が、討伐したゴブリンらの遺体を漁っている仲間達を見ていると、その向こうにある道を、5名の狩猟者パーティーが歩いてゆく、その中にいる尖がり帽子を被っている女魔法使いが、仁王立ちしている巨漢の男に気付いて視線を向けると、その先に杖を引きずって歩いている黒い神官服を着た男に気付いて視線を移した。

 その男は、生気のない亡霊のように歩いている。

 なんの目的も持たずにただ…前だけを見て……。


 デルヘルムより、約6キロ北西に位置する、黒鉄くろがね山脈山系の山にある洞窟。

 その名も『甲羅虫の洞窟』。


 地下3層に辿り着いた採取者とその護衛の狩猟者パーティーが、薄暗い洞窟内で金や銀色に輝く甲羅を持つ虫を採取していた。

 「…今日はラッキーだな、金の甲羅虫が3層に現れるなんて…」と採掘者の一人が言葉にしながら虫を解体し、その虫についている甲羅を布の袋に仕舞う。

 もう一人の採取者も、銀色に輝く甲羅を布に入れながら男の言葉に、笑みを見せていた。

 6名いる狩猟者のうち、2名が甲羅虫の採取をして、もう4名が周りの見張りをしている。


 一通り採取が終わると4層へと向かう

 そこに向かう坑道に入り、十数メートル進むとなだらかに下っている坑道へと行きついた、そこを下る狩猟者と採取者のパーティー…そして…


 4層に着くと、そこには、金や銀の甲羅虫と七色に輝く甲羅虫が至る所にいた、その光景に声をあげると一目散に採取を始めた。

 「…宝の山だな!今日はここを採取したら戻ろう。じゃなきゃ…」と言葉にすると何かの気配を感じた

 「なに言ってんだよ、まだ来て時間も経ってないし、まだまだ取れるって」と、もう一人の採取者が言葉にしながら甲羅虫を解体している

 「ところで知っているか?ここって、グールが出るんだってよ。ほんとかな、ここまで出会わなかったから…」と言いながら、解体を終わった採取者が立ち上がり振り返ると、彼以外の者たちが横穴を注意深く覗き込んでいた。


 横穴と言っても、高さは2メートル近くはある、すると、狩猟者パーティーの戦士が剣を構えると同時に他の者も武器を構え始めた。

 横穴からは、こちらに向かって歩いて来る足音が聞こえる、狩猟者パーティーは後退しながら円陣を組み始めた、その円陣に採取者も混ざろうとした時に、奥の方から大きく、そして真っ白な壁みたいなものが向かってくるのを見て、「…あ…あ………」と、採取者の一人が指を指す。

円陣を組みだしたパーティーメンバーが、その男の指が示す方へと視線を向けると…。


 灰色がかった肌に真っ黒な瞳の大きな人型のモノが、四つん這いになってゆっくりと進んでくる、そして、横穴からも同じ色の肌を持ち、瞳の真っ黒な物が1体、そして、1体と現れ始めると、時間を掛けずに4層をそのモノらが覆いつくした、


 「…あ…あれは…『ギガ』グール…」と採取者の一人が言葉にすると、巨大なモノがグッガァァァ…と声を上げると同時に周りを囲んでいたモノらが、採取者と狩猟者パーティーを襲い始めた。


 そして、彼らは、大きな悲鳴を上げながら、体を引きち切られたり噛みつかれ、黒い爪でひきさかれたりと、人間である原形をとどめない程にバラバラにされはじめた。

 その肉片をモノらが食しはじめるそばでは、布の袋から金色の甲羅が何枚か外に散らばっていた…。


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     遥かなるアブスゲルグ Ⅱ 3人の仲間と巨大屍喰鬼種『ギガグール』

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遥かなるアブスゲルグ Ⅰ -誘われた少年と呪われた男- さすらいの物書き師 @takeman1207

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