リアナ三部作の続編です。
あのドキドキの大変な三部作の後だしただの後日談でしょ?と思ったら大間違いです。
恋愛面はパワーアップしドロドロだし、陰謀もありでヒロインはまた危ない目に遭っちゃうし、バトルもばっちり入っていてかっこいいんです!
そしてこの4部のさらに後日談とサイドストーリーが、全然サイドじゃないんですよ。
メイン3人の三角関係の一角を担うフィルバート。
偉大な兄から常に1歩引いて日陰にいようとしていた彼が、今作でついに覚悟を決めヒロインへの愛情を認めます。これだけで結構くるものがあるのに、完結後のサイドストーリーにもやられます。
複雑で繊細な彼の内面を知ることができる大事なお話でした。
デイ派の私でもグラグラきましたからね。これでフィル派の方かなり増えたのではないでしょうか。
全四部作で構成されている本シリーズですが、大筋では三部で終わっており、本作は後日談の色は濃くなっています。言わば、ここまで読んだ方へのご褒美的な作品です。
舞台は前作より十年後。立派な大人になったリアナたちですが、内面も互いの関係も、成熟したかと言えばそうではなく、様々な問題がいつもの三人を揺り動かします。
女と妻、愛と恋。
王であることと旦那であること。
自身の想いの正体。
狭間で揺れ動く彼女たちの関係が、ようやく一つの決着を迎え、物語は清々しくも一抹の寂寥感とともに幕を下ろします。
本編では語られることのなかった気になるその後を遺漏なく描き切った、『リアナ』ファンならば見逃せない、堂々たる完結編です。
ついに第四部まで読了いたしましたリアナシリーズ。
残すはサイドストーリーだけとなりました。寂しいやら清々しいやら難しい気持ちです!!!
主要キャラたちの成長とそれでも終わらない葛藤が描かれた四部ですが、フィルの無双シーンがあったり、だんだんと好きになってきたデイミオンの勇断があったりで見どころは多数。
なにより艶っぽいシーンも多くて、移動中、電車内スマホで読んでたりするとドキドキしました。
個人的にはフィルが日陰者であることをやめてリアナをかけて真正面から兄弟と対峙する決意したところで感動でしたね。〈ハートレス〉たちの絆もいい。
長らくこのシリーズを拝読していて、やっぱり西フロイデさんの文章力は素晴らしいと改めて思いました。カクヨムを探索して卓越した書き手を何人も見つけましたが、その中でもトップクラスです。
会話も地の文も磨き抜かれてるので、描写がこってりしていても重くないし読みやすい。真似したくなるけど、できないの泣
三部で一応の完結をみたシリーズが四部まで続いたのは、もう終わらなくてもいい物語だってことじゃないでしょうか。
あそこで終わってればと惜しまれる物語もありますが、どこまでも続いても物足りない、もっと読んでいたいと思われる物語もあります。
リアナはきっとデイミオンやフィルよりも長生きする気がします。まだ描かれていない彼女の物語はいっぱいありそうです。