幸薄だって幸せになれるはず

福ノ はる

第1話 ツイてない


多田 幸恵《ただ さちえ》 29歳。


物心ついた頃から、ラッキーだった事はあまり無い。

寧ろ《むしろ》、アンラッキーだった事の方が圧倒的に多い。


幼稚園の頃は、楽しみにしていた行事に限って必ず風邪をひき泣く泣く参加を諦め。

小学校の頃は、遠足で行った大きな公園に置き去りにされ(点呼の時にちゃんと居たにも関わらず)、修学旅行先でも置き去り…


そんな事が続く私に付いたあだ名は、お決まりの【幸薄さちうすちゃん】。


家族ともあまり良い関係ではなかった私は、早く自立をと焦ったせいもあったのか事もあろうにブラック企業に就職。

ここまで来ると笑うしかない。


そして、人生最大のアンラッキーが今だ。


「こいつはツイてるなぁ…稀人を拾うなんて」

「親方、コイツもオークションに?」

「当たり前だ、儲けさせてもらうぜお嬢ちゃん」


目の前に居るのは、明らかにガラの悪い男二人。

でも、明らかにおかしい…


だって、頭に犬の様な耳が着いている。


え?

犬耳?ガラの悪そうな、いい年下男性が?

ハロウィンなの?ハロウィンではっちゃけちゃったの?

いやいや、冷静になれ私。

ハロウィンは先月に終わってるから、流石にもうハロウィンではっちゃけ過ぎてるパーティーピーポーはいないでしょ?


そもそも


「ここはどこ?」


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