第14話 緋色に恋愛は無理だった?
翌日になってもララ戻って来なかった。
心配になった緋色は三谷博士へ電話した。
「ああ、ララちゃんはね。ハンバーグ監督からね。是非映画に出演して欲しいって歎願されてね。ハリウッドに行ってるんだ」
「突然どうして? もう会えないんですか」
「心配いらない。撮影が終わったらすぐに帰ってくるさ。私もね、研究資金が必要なのだよ。あのギャラは魅力的だったんだ」
「わかりました」
緋色は電話を切った。
ララは大変高価。
その運用にも莫大な資金が必要なのだろう。
一介の高校生に負担できるものではない。
緋色は自分の恋心を消すと決心した。
それから三か月が過ぎた。
緋色はララのことが忘れられなかった。
しかし、彼女は自分の手が届かないところにいる高貴な女性なのだと自分に言い聞かせた。
緋色はそう思い込むことで心の平静を保っていた。
授業が終わり帰宅する。
帰宅部の緋色は直ぐに帰宅する。寄り道をする習慣はない。
バスを降りたところで隣町の不良に囲まれた。
「お兄ちゃん。遊びに行こうぜ」
「あの金髪はいねえな。こないだは酷い目に合ったからな」
「今日はキッチリ仕返ししてやるぜ」
「あの痛み。しっかりと味あわせてやるからな」
5人の不良。
以前囲まれてララがぶっ倒した連中だった。
今日は確実に痛めつけられる。
緋色がそう覚悟したその時だった。
「お兄ちゃん。待った?」
唐突に現れた金髪の女児。
今日の髪型はストレートでNinjaのキャップを被っている。ジーンズにライムグリーンのジャケットは前回と同じだった。
「こないだ心臓を握りつぶすって言ったんだが覚えているか」
ララの一言に即時逃走する不良たち。
全力疾走して逃げていった。
圧倒的な力量差の前には恥も外聞もないのだろう。
「お家に帰ろ。お兄ちゃん」
緋色の手を握り歩き始めるララ。
涙が溢れてくるのを必死に隠す緋色。
その姿をチラリと見て足を止めるララ。
緋色は足を止めあふれる涙を一生懸命拭っていた。
ララは緋色の手に頬ずりをする。
「お兄ちゃん大好き♡」
[おしまい]
緋色と金色 暗黒星雲 @darknebula
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