初詣

「人様でいっぱいだねぇ。あ、お守り!絵馬!おみくじ!」

「ガキか。落ち着け。」

「だって、だって、」

「人に憧れるのはわかった。だが、手を離すな。」

虎太コタはもう見失ったけどね。」

「どうせまた合流出来る。」

 五円玉を賽銭箱に投げ入れ、祈れば、今度はおみくじだと才造の手を引っ張る。

 五円玉は、ご縁がありますように。

 十五円は、十分にご縁がありますように。

 ただ、千円等は、欲張りとされて縁を失うともいわれる。

 おみくじの結果を見る。

「大大吉!」

「初めて見たが。ワシは寧ろ逆、大凶なんだが。」

 実際に、大吉の上は存在する。

 大凶は、これ以下にならない為、上がる一方だといわれる。

才造サイゾウの凶はこちとらが呑み込んであげる!」

「嗚呼、そうだな。可愛い……。」

 突然抱き締められて、キョトンとしたが、大人しく抱き締め返した。

 だが、すぐに絵馬へ行こうと言い出す。

 名残り惜しそうに緩めればスルりとそちらへ逃げた。

 その手を離さずに。

「なんて書いた?」

「見るな。」

「ん、一緒♡」

「あー、もー、恥ずい。」

「何気に正月は才造が一番面白い一時だよね。」

「そうかそうか、ならこうだ。」

 虎太が丁度二人を見つけた時だった。

 少し考えて、しばらくは待つことに決めたのだった。

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