若い読者にお勧めする、『ポンコツ宇宙戦争』


 身長185だが運動ダメな見掛け倒し男子の見原アヤトは、クラスメートの目立たないちんちくりん女子、志戸スズミに、ちょっとしたお願いをされる。

「あの、宇宙人を助けてくれって、言われたら、困りますか?」

 そこから始まるポンコツ男子高校生と、やはりポンコツ低身長の女子高校生コンビによる、身長15センチの美少女宇宙人(これもポンコツだよ、おいっ)を助ける物語。
 彼はなし崩し的に、宇宙戦争に駆り出されるのだが、なにせ個室に籠る必要がある。そこで選ばれた宇宙戦争の指令室がそう、トイレだ!

 彼はきょうも、銀河の果ての司令官として、トイレに籠る!



 ……のだが、物語は第二部に入って、なにやら胡散臭い街の秘密に触れる。そしてこれが、どうも宇宙戦争と無関係ではないようなのだが……。


 読みやすい文章と、軽快な語り口。

 無双も、ツエーも、イケメンも出てこないけど、ポケットの中の宇宙戦争的なドキドキ感が常にある。ひと昔前の、ライトノベルのリズムが感じられ、「イリヤの空、UFOの夏」とかに似た印象があるが、本作は底抜けに明るい。

 ぜひ、若い読者に読んでもらいたい。かつて、ラノベとは、こういうものであったのだということを、知ってもらいたいからだ。


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