ヒロインの志戸さん、ミミ、ファーファの3人の女の子キャラがそれぞれに可愛くて、それぞれに天然な感じでボケる。その3人にツッコミを入れながらも、困難な状況を次々に打破していく主人公。強くもなく、特別な才能があるわけでもない等身大の青年が、その場の思いつきと判断で困難を乗り越えていくストーリー展開がとてもホッコリとしていて、そして熱い!
第2部からは個性的な新キャラが続々と登場し、昭和の良き時代のSF冒険活劇を彷彿させる展開もあり、ますます目が離せなくなってきました。
あっ、最近では中国の月の裏探索の話題が上がりましたが、時代がとうとう小説の内容に追いついてきました。『宇宙トイレ』は今後益々加速していくことでしょう。皆さんも『宇宙トイレ』フリークになってみませんか? ちょっと先行く未来をぜひ一度ご覧になってください。
身長185だが運動ダメな見掛け倒し男子の見原アヤトは、クラスメートの目立たないちんちくりん女子、志戸スズミに、ちょっとしたお願いをされる。
「あの、宇宙人を助けてくれって、言われたら、困りますか?」
そこから始まるポンコツ男子高校生と、やはりポンコツ低身長の女子高校生コンビによる、身長15センチの美少女宇宙人(これもポンコツだよ、おいっ)を助ける物語。
彼はなし崩し的に、宇宙戦争に駆り出されるのだが、なにせ個室に籠る必要がある。そこで選ばれた宇宙戦争の指令室がそう、トイレだ!
彼はきょうも、銀河の果ての司令官として、トイレに籠る!
……のだが、物語は第二部に入って、なにやら胡散臭い街の秘密に触れる。そしてこれが、どうも宇宙戦争と無関係ではないようなのだが……。
読みやすい文章と、軽快な語り口。
無双も、ツエーも、イケメンも出てこないけど、ポケットの中の宇宙戦争的なドキドキ感が常にある。ひと昔前の、ライトノベルのリズムが感じられ、「イリヤの空、UFOの夏」とかに似た印象があるが、本作は底抜けに明るい。
ぜひ、若い読者に読んでもらいたい。かつて、ラノベとは、こういうものであったのだということを、知ってもらいたいからだ。