第3話 石ころがころがる先
「ねえメル、あの子、泣いていたよ。かわいそう」
スズメがチュンチュンと訴える。
メルはにっこり微笑んで「だいじょうぶよ」と言うと、ひとさし指をたててくるりと円を描いた。
すると、結愛が蹴った小石がころころ転がりだして、どんどん転がって、コンビニの紙コップのコーヒーをもって歩いていたスーツ姿の男性の足の下に転がり込んだ。
「あーっ」
スズメが悲鳴をあげると同時、スーツ姿の青年は小石を踏んで盛大に転び、その手から紙コップがすっぽりと飛び出して、すれ違おうとしていた若い女性の真っ白なコートの裾に、焦げ茶色のブラックコーヒーがぶちまけられた。
「メッメル! 大変だよ!」
「うふふ」
慌てふためくスズメをよそに、メルはいたずらっ子のように笑った。
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