君が起こすキセキ

祥之るう子

第1話 スズメのともだち

 ――チュン、チュン。

 今年も冬がやってきた公園で、うっすらつもった雪に、スズメの子が楽しそうに足跡をつけている。

 チュンチュンと飛び跳ねながら、公園のまん中にある少年の銅像の台座まで行くと、そこにはスズメの子のともだちが、銀色の髪を風になびかせて座っていた。

「メル! 久しぶり! 今年も雪がふったね!」

 スズメの子は、ともだち――メル・アイヴィーに声をかけた。

 メルがにっこり微笑むと、スズメの子は嬉しそうに飛んで、メルの頭の上に乗った。

「そうね。あなた、寒くない?」

「ぜんぜん!」

 スズメの子は、メルの頭の上で、エヘンと小さな胸を張った。

「ねえメル、見てよ、あの子」

 スズメの子がメルの肩に移動して、公園の入り口近くのベンチに座っている少女をさした。

「んー?」

 メルは、美しい青い瞳を見開いた。

 近くの名門高校の制服を着た、真っ黒なストレートのロングヘアの少女は、学校指定のコートを着て、スクールかばんとピアノの鍵盤けんばん模様のトートバッグを横に置き、ベンチに座ってスマートフォンの画面を見つめていた。

「せっかくの雪だって言うのに、あの子、とっても悲しそうなんだ」

 スズメの子は、心配そうに言った。

「ほんとうね」

 その時、少女がハッと顔を上げた。

 メルの青い瞳と、少女のまだあどけない、真ん丸の黒い瞳が交差した。

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