第3話異性の相手との会話が上手くいかない。

 キーンコーンカーンコーン

 ホームルームが終わり、それぞれ一限の準備に入る、が、俺はそんなことより、気になっていることがある。

 さっきから視線がすごい感じるんだよな、やっぱり昨日のこと根に持ってるのかな。


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 そのまま何事もなく三限目が終わり、大きくため息をつく。


(はああ、向こう動く様子はないな、唯一変わったのは、さっきより視線を感じることだ、視線は感じない時に松井さんを見ると、下向いて何か言ってる見たいだし、もしかして、昨日のことを追求するための練習? いやいや、流石に考えすぎか)


「昨日はいきなりごめんね、てへ!......だめだだめだよ! 全く言葉が出てこない!」

「あ、あの紅葉ちゃん? どうしたの?」

「あ、う、ううん、何もないよ!」

「何にもないようには見えなかったけど」

「き、気にしないで!」


(西山君のこと意識しすぎたぁああああ、意識ってのはあっちの意味じゃないよ!)


 松井さんの変な挙動に気づいた、後ろの席の音緒 佑磨 (ねお ゆうま)が困ったように俺を呼ぶ。


「おい、直哉、紅葉ちゃん様子変じゃねえか? いきなり変なこと言いだしたりさ」

「あ、お、おう、たしかにな」

「てかさ俺さっきトイレ行った時前通ったんだけど、お前の名前連呼してたぞ?」

「れ、連呼!!?」

「声でけえよ! お前は変なやつだと思われてるが、俺はそう思われたきゃねえんだよ!」

「あ、す、すまん」


(俺の扱いひどくね?)


「てかさ、お前も今日少し変だぞ?」

「い、おや、そんなことない、いつも通りだぞ?」

「へー、なら、休み時間あと五分だけど、トイレ行くふりして前通ってみろよ」

「なんでそんなことしなきゃいけねえんだよ!」

「前通るくらいいいじゃん、もしかして、前通れない理由あるのかな?」


(ぐぐぐ、こいつ!)


 松井さんとの関係を疑われると思い、渋々佑磨の指示通り動く。


(やだな、通りたくねえな)


 松井さんの席付近まで来ると、松井さんも俺のことに気づく。


(西山君が近づいてきてるんですけどぉおお! 待って、心の準備が!)


(完全気づいたじゃん、気まずいって、松井さんの表情からして、とても嫌な顔してるよ?!)


 そのまま松井さんの席を通り過ぎ用とした途端、事件が起きた。松井さんが席を立ち、視線は下を向いたままで、お手手は俺の服に、服に手が? なんか捕まってるんだけど。


 その様子を遠くから見ている佑磨が、ニタニタ笑っている。俺からすれば笑い事じゃねえからな!


「えっと、あのー」


 少し静止してから、やっと話し始めた。


「え、はい」

「そのー」

「はい」

「えっとですね」

「はい」


(何だよこの空気! 昨日と一緒じゃねえか、松井さんもとても話しかけづらそうだし、どうすりゃいいんだよ!)


 松井さんは一度大きく深呼吸をし、やっと視線をこちらに向けた、顔はとても赤くなっており緊張しているようだ。


「昨日のことなんだけど!」


 キーンコーンカーンコーン

 四限目の開始のチャイムがなる、それと同時に先生が教室に入ってきた。


「よし授業するぞ、座れよー」


 先生の合図とともに、席に向かおうとするが、松井さんが服を持っているせいで動けない。


(うぉおおお、なんでこんなタイミングのチャイムなるのよ! 空気読みなさいよ!)


「おい西山早く座れ」


 緊張が解けたのか、ゆっくりと服から手を離してくれた。俺はゆっくりその場から逃げるように席に向かう。


 席に着くと、お目目をマンマルにして待っている人がいた。


「二人ともいい感じだったな」

「そんなことねえよ!」

「コミュ障発動してたしな!」

「それはだな、仕方がないんだよ」

「何が仕方がないのかな? 昨日も二人でいたくせに」

「ほんと、昨日も一緒にいたしな......ん? え!」

「なに?」

「なに? じゃねえよ! お前あの場にいたのか!」


「そこ、西山うるさいぞ」

「あ、ああ、すみません」


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