僕と弟と

恵本正雪

ちっちっちっちっち

 THE END

 ジャジャジャジャーン、シャララ~ラ~


 派手なラッパとシンバルが映画の終わりを締めくくった。

 弟は僕のとなりでエンディングを見終わる前に眠ったようだ。

 もう時刻は21時で、7歳になる弟にはきびしい時間だった。

 しかられる前に僕も寝よう。僕はすっぽりと布団をかぶって目をつむった。


 ちっちっちっちっち

 ちっちっちっちっち


 眠れない……。


 ちっちっちっちっちっちっち

 ちっちっちっちっちっちっち


 聞こえるのは時計の音だ。

 いつもは気にならないのに。


 ちっちちっちっちちちっちっちっち、???

 ちちちちちっちっちちちち……ちちっちちっちっちっちっち、……

 ジチチチジリリリリリリ!!!!!!!


「!!!???」


 ウィーーーーーーーーーン、、、、、ガガガガガガガガ、、、、、ゴゴゴゴゴゴ

 ジャジャジャジャーン、ジャジャジャジャ、ジャンジャンジャジャジャン


 時計が狂ったと思うと、部屋中のものが一斉になり始めて、僕はとても恐怖だった。

 外からも、ものすごい音が聞こえる。大きな乗り物の音だ。

 この世の終わりだと思った。


 ドアが開く音がキイと聞こえた。

 このままでは誰かに連れていかれると思った。

 テレビでは勝手に巻き戻った映画が流れている。

 僕は最後の勇気をだして覗いてみると、眠っていた弟が映画を見ていた。


 僕はなんだかほっとして、夢中になって映画をみている弟の隣に座った。

 そして僕はもう一度同じ映画を見ることになった。


 THE END

 ジャジャジャジャーン、シャララ~ラ~


 今度は弟も最後まで見れたみたいだ。

 面白かったね。

 オモシロカッタ

 ……

 弟の様子がへんだ。

 眠くて喋り方がおかしくなったのかい?

 オモシロカッタオモシロカッタオモシロカッタヨオ


 弟は壊れた時計みたいに無表情でへんな喋り方をしている。

 ふざけているといよいよ兄ちゃんのげんこつを食らわすぞ。

 それにもう一緒にトイレに行ってやらないぞ。


 ヤダヤダヤダヤダ


 僕は怒ってしまった。

 もう弟を無視することに決めた。

 せっかく一緒に起きててやったのに。


 僕は自分の布団に戻る前に、弟の布団のほうをみた。

 生まれて一番のショックを受けた。

 もう弟は布団の中で眠っていて、寝息を立てている。


 テレビのほうからもなにかの気配がある。

 でもぼくはもうテレビのほうを見る事ができなかった。


 オニイチャントイレ



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕と弟と 恵本正雪 @summa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ