1 出会い 《劇場側》
さて、本編に入る前に詳しい概要だけお話ししましょう。
彼女らの大学名は………そうですねK女子大としておきます。
そこは、とある地方にある私立の大学で国内でも最大級の規模の大学でした。というのも、大きな山一つが大学のキャンパスで、そこに授業棟に加え、実習棟、部活棟、そして学生寮がありました。
K女子大自体歴史はとても古く、大正時代には前身校があったとされています。いわゆる「女子師範学校」と言うやつですね。
そしてオーケストラも大学が始まって以降最も古い部として長く続いておりました。
学内で最も大きな部活棟兼部員寮―、所謂団員寮をもっていました。
………そうです、K女子大は部活ごとに寮がありました。基本的に一年ごとにその年の新入部員の数で寮が変わるのですが、オーケストラともう一つどこか別の団体が個別に寮を持っていました。
と、いうのもどちらの団体も最大規模で100人を超えるメンバーがいたという記録があったのです。
それに加えて、オーケストラの寮は全室に防音設備がなされ、いくつもの個人練習室や多くの備品や大きい楽器のための楽器倉庫が用意されていたため、他の団体にとっては使い勝手のあまり良くないものになっていました。
次に、団員たちについてですね。
記録にある代の楽団の人員編成は3回生9人、2回生13人。
他の地方出身の団員も多くおり、物静かなイメージと裏腹に寮での生活は明るく
記録を残していた善光佑子らは78代にあたり、彼女は団の広報―、所謂団の宣伝を担当していました。
彼女のいた代のオーケストラは当時重大な人員不足で、それに伴って金銭面でも苦しい部分がありました。
そこで、彼女たちの代では死に物狂いで勧誘活動を行う運びとなったのです。そのための1番最初の活動が、入学式演奏。所謂バックミュージックを弾く仕事ですね。
記録は、彼女が3回生に上がった年の入学式当日の日から始まっています。
Arie für ein kleines Orchesters 前垣桜子 @sakurako_maegaki
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