Arie für ein kleines Orchesters
前垣桜子
プロローグ
お目覚めですか、お嬢さん?
どうもどうも、ようこそ劇場【KINO】へ
こちらにおられるということは、劇場に気に入られてこちらにお越しいただいたのですね。
そう、この劇場の招待状が届く人は《劇場に選ばれた》喜ばしい人なのです!
劇場に気に入られ、招待状が届くということは貴女は余程素晴らしいお方…、
おや、どうされました?
……招待状など受け取った覚えがない…と。
そんなことない筈です、《夢への入り口》と書かれた招待状が届いており、開いたのでお越しいただきました。
ええ、きた覚えがないのもその通り、これは夢の中の架空の劇場。皆さまが生きる世界の劇場ではございません。
そして、ここで語られるのは子供騙しなおとぎ話とはわけが違う、世界のどこかで生きるだれかの残した「日記」と呼ばれる記録を映像にして流しております。
本日の公演は特別なものですよ、年に一度のたった1人しか入れない特別公演。ご案内をさせて頂くのはこの私、語り部です。「語り部さん」とでも呼んでください。
お話しする物語のタイトルは『Arie für ein kleines Orchesters』
ドイツ語のタイトルですが、著者は日本に住む当時21歳の女性で、女子大学の3回生でした。
タイトルでお察しの通り、彼女はオーケストラに所属していました、そのころの記録です。
彼女の名前は、『善光佑子』、なんの変哲も無い、ただの女子大生でございました。
そういえば、お嬢様のお名前をお伺いしても…
いえ、やはりやめましょう。レディにお名前を聞くなんて、
では、始めましょうか。
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