背景と舞台が緩やかに溶けあうファンタジー

生活の大半を天文台に生きる青年タンフウの話。

何かを欠いて生き、どこか憂鬱で怠惰なようにも見えるその背景が徐々にみえていく。事情がわかるにつれて、ああ、これはこういう話なんだな、となり、大団円は迎えられるのだろうか、と思ったころにはもうこの世界のとりこになっている。

静かな舞台の中で静かに織りなす、心の深いところに熱い気持ちを隠している人の物語。舞台とキャラクターとのバランスが良かったし、変化していくタンフウの思いが素敵でした。

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