不幸に苛まれた結末に、せめてもの幸あれ――そう願う
- ★★ Very Good!!
霧の人形、ノルンは願う。
たった一つの世界を願う。
巨大な全知全能に阻まれて、世界は終焉の途を辿る。
たった一つの見出された希望。
欠損を破る、一抹の可能性。
絶望に凍える世界に、灼熱の怨嗟に満ちた世界に。
その救いを見出さん。
七つの大罪と七つの元徳。
あり方は違えど表裏一体。
生まれし魂は両天秤に汚されて、体という器で不自由に蠢く。
魂の帰る場所に救済は待ち受けず、ただ利用される。そんな世界。
けれどそんな救いのない大事など、実はどうでもよいのだ。
たった一つの願いは不変。
一貫した思いは、構造によって無惨にも貫かれるのだろう。
明日世界が滅びようとも、叶えたいのは一つだけ。
そんなワガママすらも、満たしてはくれないのでしょうか?
終末は近い。
再誕の先にある、泡沫の未来を、信じてみたい。
不幸の先に、幸あらんことを。