満月
ミーシャ
〇
ときどきまだ、自分がどういう人間か考える。
性格なんて本当のところ、自分で決めて生きられるものでも無いのに。
ひとりで空を見ていると、そんな自分に安心する。
なぜなら他人に対しての言い訳から、自由でいられるから。
心の中で『別の』人間が言葉を発する必要もなく、
私は、『私』であろうと、努めなくていい。
やさしさだとか、人間らしさだとか、
誰かのために、微笑んでいなくてもいい。
寂しさが、一人の時間を超えて胸を占めるまで、
私は自由であって、誰でも無くて、
生きていることさえ、感じなくてもいいのに。
重く、あたたかな夜の中に立ちすくみ
欲しかったものをまた、思い出してしまう。
叶わなかったものも、壊れたものも、まったく同じになんて
再生できない。
過去ばっかりを気にして、今を穢しても仕方ないのに。
彷徨い歩く、心が痛い。
此処に戻ってくるのは、そのせいなんだ。
夜は短く、明日は遠すぎて、気がおかしくなりそうだから
今日も眠れない。
満月 ミーシャ @rus
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