わんころがし

リエミ

わんころがし


 えいちゃんは、ペットのわんくんを、ヒモでつないでお散歩に出ました。


 わんくんはよく「わんわん」鳴いてばかりいて、なかなか前へ歩きません。


 立ち止まっては「わん」、人が通っては「わん」でした。



 えいちゃんは早くお家に帰りたかったので、わんくんのヒモを引っ張りました。


 するとわんくんは、ちっちゃかったのでコロコロ転がってきたのです。


 それを見た人々は、えいちゃんのことを「わんころがし」のえいちゃん、と呼ぶようになったのでした。




 わんくんはといいますと、相変わらず、今日も転がっています。


 歩くより転がるほうが、足が楽だというようです。


 でも、今日はとっても寒い日だったので、雪がたくさん積もっていました。



 えいちゃんは「わんころがし」のえいちゃんなので、いつものように転がします。


 わんくんも最初は楽ちんでしたが、途中から、体中に雪がまとって、おおわれました。


 「わんころがし」のえいちゃんは、「雪玉ころがし」のえいちゃんになりました。


 そしてもう、これ以上は引っ張れないな、という大きさになりますと、えいちゃんはヒモを放して、手でコロコロ転がしました。


 そして公園の真ん中に置くと、上に小さな雪玉をのせて、雪だるまを作ったのでした。



 公園に遊びに来た子供たちは、春になって雪がとけるまで、「かわいいね」とか「さすがえいちゃんだね」と、えいちゃんをほめてくれました。




◆ E N D

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わんころがし リエミ @riemi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説