夢想的な流れに身を委ねて――。

妻の死。それがもたらしたのは記憶の混濁か、呆然自失に徘徊する彼の前に現れる手がかりは妄想なのか、それとも―ー。

日常と妄想が入り交じり、あやふやな世界と記憶に振り回される様は読んでいて不思議な感覚と、どうなるのだろうというピリッとした緊張感があって独特の雰囲気を醸し出しています。

そしてそれだけではなく、冷たい水面でも主人公に差し伸べられる手は温かで。周囲の助けや想いに触れていくうちに、妄執にかられた男がどうなってしまうのか、いつしか読み手側が心配するようになっていく。

手がかりを追って、彼が辿り着く”現実”はどれなのか。
妻。記憶。魚たち。

おおよそ起こり得ないような、絵画のような情景シーンで浮かび上がりつつ、画廊や絵描きの生活という興味深い部分が地に足を着けてくれる物語。

ホラーテイスト&ミステリーチックな夢の狭間で、彼の結末を探しましょう!

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