魔法とバトル、そこには王道かつ人間味溢れる一つの物語。

ひょんなことから、賢者の石という願望機を巡る魔女達の戦いに身を投じていく主人公。
ファンタジーとしては王道な魔法を使ったバトルものでありながら、彼は適度に平凡でいて情に厚い。逆境にぶつかる度に「それでも」と立ち上がるその姿に、硬い意志に何度胸を熱くさせられたでしょう。

その主人公の世界を彩るは魅力的なキャラクター達。
不器用ながら優しい一面を持つ者、哀しき運命に翻弄された者、己の正義を貫こうとする者..。
一癖も二癖もある彼らが、時に言葉で、時に刃を交えてぶつかり合いながら心を通わせ、己の信念を磨き合います。
そのぶつかり合いを経た成長もさることながら、キャラクターの終末も一つ一つが丁寧に描かれており、モブキャラという存在を感じさせない綺麗なものでした。

激しく、時に望まぬ哀しき戦いのその果てに彼らが手にした結末は、彼らの変化と共に是非その目で見届けて下さい。

王道ファンタジーもいいけど、成功ばかりじゃなくて葛藤や絶望だってあっても美味しい、そんな欲張りなあなたにもお勧めしたい一作です。

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