ひょんなことから、賢者の石という願望機を巡る魔女達の戦いに身を投じていく主人公。
ファンタジーとしては王道な魔法を使ったバトルものでありながら、彼は適度に平凡でいて情に厚い。逆境にぶつかる度に「それでも」と立ち上がるその姿に、硬い意志に何度胸を熱くさせられたでしょう。
その主人公の世界を彩るは魅力的なキャラクター達。
不器用ながら優しい一面を持つ者、哀しき運命に翻弄された者、己の正義を貫こうとする者..。
一癖も二癖もある彼らが、時に言葉で、時に刃を交えてぶつかり合いながら心を通わせ、己の信念を磨き合います。
そのぶつかり合いを経た成長もさることながら、キャラクターの終末も一つ一つが丁寧に描かれており、モブキャラという存在を感じさせない綺麗なものでした。
激しく、時に望まぬ哀しき戦いのその果てに彼らが手にした結末は、彼らの変化と共に是非その目で見届けて下さい。
王道ファンタジーもいいけど、成功ばかりじゃなくて葛藤や絶望だってあっても美味しい、そんな欲張りなあなたにもお勧めしたい一作です。
平凡な高校生が、憧れの女子に対する軽い好奇心から「魔女の闘い」に巻き込まれ、それに身を投じていく——というカード魔法×バトルロイヤルの異能系ファンタジー。
特別になりたいと願っていた平凡な少年が、最悪の過程を経て得た「魔女の騎士」という特別な役割。それは同時にすべてを喪う選択でもありました。
惹かれる想いと、時に反発する心。主人である魔女とともに闘いを重ねながら、彼は自分が闘う意味を問い直してゆくことになるのですが。
それと並行して描かれる、優しくて不器用な彼女と、少年らしくひたむきな彼の心の交流は、関わる人々やお互いの本心を少しずつ暴いてもいきます。
過酷であり、望まぬ闘いも強いられつつ、それでも彼は折れない意志を武器に立ち向かう。その信念の理由は、ぜひ本編にて確かめてください。
読み易く迫力にあふれた筆致で、個性的でどこか逸脱した「魔女」たちと、その中に巻き込まれる「普通の」少年たちの対比がよく描かれており、ドラマチックな人間模様を楽しむことができます。
魔女やカードを介して繰り広げられる魔法バトルも、非常に臨場的で緊迫感があり、各魔女の個性が表れていて鮮やかです。
読み応えのある現代ファンタジーをお求めの方にはオススメの作品です。
魔法×カード×バトルですよ奥さん! 魔法とカードの組み合わせって、ほら、我々直感でわかりますよね。相性がいいんですよね。「でもちょっとぉ~カードバトルってぇ~ルール覚えるの難しいんじゃな~い?」とか思うでしょう? でもご安心ください! 説明や描写が良い意味で分かりやすいので、どんなカードが、どんな魔法が繰り出されるのかが読んでいて想像しやすく、登場人物たちの特性やカードの組み合わせなどを色々考えながら読み進める楽しさが味わえます!
憧れの彼女がまさかの魔女。壮絶な死亡そして蘇り。魔女の騎士。というかもう魔女と騎士ってフレーズが剣と魔法のファンタジー好きの心をくすぐります。でありながら舞台は現代ゆえに想像しやすい! セーラー服姿の魔女というのが私的にいっぱいちゅきです。ありがとうございます。
適度に中二でいて、主人公が戸惑いながらもちゃんと熱い。展開も熱い。主人公は最初から全てを理解し全てを打ち倒せるようないわゆるチート系俺TUEEEできないので、ちゃんとイチから修行訓練学習しなくちゃいけないし、失敗も成功もする。バトル合間の日常ではほっこりうふふするし、年頃まっさかり青春だし、若いからほら、色んなところで色々苦悩もする。色んな意味でドギマギもする。それを見守っていきたいよね! 頑張れ黎くん!! っていう気持ちになりますね。応援してます!!
何年か前から、ファンタジー系の小説や能力バトル物は敬遠するようになっていました。
これも何かの縁だと思いながら、すいません、能力バトル物だろうこの作品を開く時にそれほど期待はしていなかったんですが、考えを改めます。
何でもかんでも主人公が最強で片付けるワンパターンではない。
紙媒体で昔から読書してる人間が「待てやコラァ」となるような引っかかる文章でもなく、むしろ読みやすい。
能力バトル物には必要な、適度な中二っぽさ(褒めてますごめんなさい)。
そうそう、これだよこれ!!
俺が昔好きで某文庫を読み漁ったのはこういうのが好きだからなんだよ!!
展開も決して奇をてらっているわけではない。むしろ王道とはこういうことだと思います。無闇矢鱈と死んで異世界行けばいいってもんじゃないんだよ。
久々に懐かしいワクワクを思い出しました。応援してます。