地底探索団
リエミ
地底探索団
「わー!」
「うわーいたい」
「重い、足踏んでるよ!」
「あ、ごめん」
「いったい何が起こったんだ? 突然真っ暗になるなんて」
「どうやら、地面が落っこちたらしい」
「そんなぁ。ここはオレたちの敷地内だぞ」
「そうだけど、もしかしたら他のグループも、この陣地に攻め込んできているかもしれないっていうことだ」
「こんな立派な落とし穴作って!」
「オレたちより腕は上だ。油断するな」
「よし、こんなところにいてもしょうがない。前へ進むぞ」
「狭いよ。一列に並べ。前を向け」
「前はあっちだ!」
「あ、ごめん」
「それじゃあ、進むぞ。1、2、1、2」
「砂がかかった」
「目に入った」
「さっきからうるさいぞお前たち! よし、ここはひとまず、オレたちの目標をもう一度確認するぞ」
「ラジャー!」
「オレたちは、死んだ仲間が最期に言っていた、とんでもないお宝を発掘するため、グループを結成して進んでいる」
「そうです、そうです。死んだ仲間によると、お宝を目の前にするその時が、最も危ない」
「変な臭いを発散しているらしい」
「薬物だ」
「お宝を守っている怪物でもいるのか」
「おそろしい。だがお宝は手に入れたい。オレたちは、お宝を目標に生きている身だからな!」
「さて、活気が出てきたところで先へ進むぞ」
「せまいよ」
「地面を這え!」
「ドロだらけだ」
「もともとそんな色だったじゃないか」
「なにを!」
「おい、喧嘩しろと誰が言った」
「しっ! 今、何か聞こえなかった?」
「どんな音だ?」
「何者かが這う音です」
「オレたちじゃないのか」
「いや、みんな今、止まっている。耳を澄まそう」
「…………」
「ほら! また!」
「まさか……オレたちに対立するグループかも」
「陣地に攻め込んできたのか!」
「いったい誰だ、どこのグループだ。だとしても何を目的に」
「死んだ仲間は裏切らない。オレたちの中に、スパイがいる可能性があるってことだ」
「なんてこと言うんだ。仲間割れしない!」
「でも……」
「ほら、そんなこと言ってるから、通路は行き止まりになったじゃないか!」
「頭に地図を作って歩けよな!」
「いいから、引き返すぞ。1、2、1,2」
「砂が口に入った」
「くしゃみが出そう」
「うるさい」
「何をぐずぐずしているんだね」
「はっ、あの声は……」
「だれだ、あいつは」
「他のグループの奴らだよ。やっぱり来ていたんだ! 言った通りだった」
「匂いにつられて、這って来たんだよ。もうお宝はごく近いぞ!」
「奴らに負けるな! 突っ走るぞ。新しい道を作れ!」
「1、2、1、2」
「手間どるな! 本気で掘れ!」
「1、2、1、2……」
「見えた!」
「すごい、すごいお宝だ!」
「見ろ、おいしそうじゃないか!」
「さつまいもだ!」
「あんなに根をはってら」
「さっそく喰うぞ!」
「待て!」
「今度は何だ!」
「また音がする……」
「どこからだ!」
「それが……上からです」
「なんと……なぜ」
「上から、振動のような音がします」
「おっ、止まったぞ」
「噂の怪物が来たのかも……」
「くそー! お宝を目の前にして……いいかみんな、まだ何の臭いもしない! 腹いっぱい詰めろ! 詰めたら猛ダッシュで逃げるんだ!」
「よしっ、そうしよう!!」
「うまいなぁ」
「うまい」
「おい、砂が降ってきたぞ。ぺっぺっ」
「ぼくじゃないよ」
「あ、光が差し込んだ!」
「なんだ、あれは!」
「……天井からクダが伸びてきた!」
「なんだ、この臭いは!!」
「強烈だ」
「スプレーだ!」
「もうダメだ、薬物だ!」
「毒殺だ!」
「くそー怪物め!」
「む……無念」
「これが噂の、モグラ殺傷剤か……ぐふっ」
「ぐふっ……」
◆ E N D
地底探索団 リエミ @riemi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます