うつむく彼女に「だれのせいでもない」と囁きたい

ゆるゆると、夜が降りてきた。

この書き出しから一気に引き込まれました。簡潔だけれども奥行きのある文章が、ロマンチックな一夜に華を添えています。

意味深な涼子の言葉から始まる「僕」の回想。
会えた時間、会わなかった時間。
年を重ねて味わい深くなる酒のように、二人の愛情も洗練されていきます。
あの曲を知っていても、知らなくても酔いしれることができる美しい世界。ぜひとも、余裕のある大人の恋を味わっていただきたいです。