第7話 計画

 リーダー格のイルカは、通信機の電波をカットすると笑った。


「我々が地球を征服する日も近いな」


「その通りですね」


 インテリ風が相槌を打つ。


「しかし、今回は謎の婆さんに良いトコをもって行かれました。私の下調べが足りず、申し訳ありません」


「うむ」


 リーダー格は仰々しく頷いた。


「失敗を生かして、次こそは我々が手引きをしなければならん。そもそも人間よりも我々が優れている点は、失敗から新しいものを学ぶという問題解決の――」


「まぁ、結果オーライだろ」


 説教臭い話を始めたリーダー格に、ヤクザ風が割り込んだ。


「アイツに恩は売れたようだしな。それにしても、馬鹿な人間どもだ。俺達が恩を売ることから地球侵略を始めているとは……夢にも思わんのだろうな」


「夢だけに、か?」


 にやけるリーダー格を、2匹のイルカは冷めた目で見た。


「それはさすがに寒いです」


「俺も弁解できねぇな」


 リーダー格は2人を咎める様に咳をする。


「お喋りはもういいだろう」


 イルカ達がいる部屋は、浩太の見た夢の中のように真っ白だった。浩太の夢と違うのは、夢を操る通信機と、ホワイトボードが置かれていることだ。そのホワイトボードには、でかでかと次のように書かれている。



〝人類親イルカ計画〟



「次のターゲットを探すぞ!」


「いえっさーっ!」




                 おわり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イルカ的地球征服過程 星浦 翼 @Hosiura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ