第2話 また怒られたから旅に出るね

「スリューネ様!好きです!僕と付き合ってください!」

「は?」


 このアホ勇者を仲間にしてから約五か月。私はお城の自室じたくで1人、ゴロゴロしています。


「あ、またお菓子なくなった」

 ここは勇者の出番かな!

「おぉーい。ジルー」

「はい!なんでしょうかスリューネ様!」

 私は勇者の告白を受けてめでたくラブラブ…なわけないけど…。意外この勇者ハイスペック。ドワーフと人間ヒューマンとの半亜人デミ・ヒューマンのため寿命は長く、体や顔はヒューマンよりなのでかなりイケメンの部類。


 ちなみにですけど、この世界には6つの種族がいます。

「人族」は、能力は平均的で数も三億人程。唯一他の種族と子孫を残すことの出来る種族。

「猫人族」は、身体能力が高いが数が少なめ。猫耳娘いいよね。

土竜人ドワーフ族」は、鍛治職人かと思いきや大体は商品作物や動物を飼育している。数は猫人程。

「エルフ族」は、皆さんのご想像の通り!美男美女揃いで寿命は千年程。魔法文明が栄えている。いつか見てみたいね。

 そして、私達「魔族」は、人族が褐色の肌で翼の生えた感じ。数は人族と同じくらい。


 そんなことより、意外とスペックの高い勇者君の告白を断る理由は中身は美奈だからないよね。

「人間の町でお菓子買ってきてくれない?」

「なら!一緒に行きましょう!!デートですよデート」

 デート。これも元の世界の言葉だ。これみたいに、この世界には元の世界の文化が流れ込んできている。それは転生勇者が広めたからだとか。はっきりしてないけど。

「…まぁいいわ。ならばこの角とか羽を隠さなければいけないな…【ハイド】」


 フォン


 この世界の魔法は色々と便利。体の一部にかけたりここら一帯にかけたりと、かなり自由。だけど習得にはかなりの時間を要する…らしい。血筋で変わるんだって。

 私は城の門を出る際あんなことがあったのに無警戒だった。そう。また父上の転移の魔法陣が設置してあったのです。もちろんそこで転移。

 転移の光で目を閉じている父上が

「また城でずっとゴロゴロしているのか!」

 と、正直目を閉じながらだとダサい

「父上、私は別にゴロゴロしているわけでは」

「やかましい!いつもいつもゴロゴロしている…で…は………。なななんで他種族ぶがいしゃがいるのだ!」

やっと気付いた。

「私の彼です。」

「なにぃぃぃぃ?」

「初めまして。義父上おちちうえ。私は、元「勇者」ジル・バルトロンと申します。」

「義父上ぇぇぇぇ!?他種族おまえみたいな勇者やつは認めないぞ!?」

「まぁ、お父様の意見なんてどうでもいいのです。」

そうなんです。どうでもいいのです。

「それは酷くないか!?……それよりだ。また城でダラダラしやがって!もっと他の地を侵略せんか!!」

「お父様、それは少々……」

「な、何か問題があるのか…?」

「「面倒くさくないですか?」」

「なんで勇者おまえも言ってるのだ!?」

「スリューネ様ならこういうかな…と思いまして。」

「よく分かってるな。ジル。」

「あぁぁぁぁぁぁ!もういいわ!もうお前らわしの領地から出ていけ!!」

「「喜んで!!」」


「おかえりなさいませ魔王様。」

「あぁ、じぃ。私たち旅に出るから。」

「承りました。ご準備致します。」

「うむ。よろしく頼む」

「スリューネ様、旅とはどこまで行くのですか?」

「あぁ、ちょいとスレイグの地までな。」

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隠居魔王の成り行き勇者討伐 倒した勇者達が仲間になりたそうにこちらを見ている! 水上 天 @mizukami_ten

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